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●ワークスタイルを個人が選択
AIが会議の進行を務め、ロボットがプロ級のお茶を提供する――。そんな近未来のオフィスの姿を提案しているのは、オフィス家具で知られるイトーキだ。

本稿では、イトーキが11月8日から開催するBtoB展示会「ITOKI PRESENTATION 2017」で紹介された、先端技術をとりこんだ近未来のオフィスのモデルケース展示を中心にお届けする。

○会社に行かなくても働ける時代のオフィス

同社は、「〜アシタのオフィス、アサッテのオフィス〜」というコンセプトを掲げ、2017年〜2025年を想定した近未来のオフィスを提案している。

オフィス環境のトピックとしては、スタンディングワークやフリーアドレス制など、座位・座席固定の従来のオフィス空間とは異なる仕組み・執務方法が注目されている。

だがこうした仕組みの導入は一括で行われることが多く、働く側から見ると、「与えられた環境を使う」という状況はあまり変わっていなかった。

同社が提案するのは、個人作業とグループワーク、集中あるいはリラックスなど、用途や設えが異なる空間を複数展開し、個人が自分の状況にあわせて主体的に選択するような運用方法だ。テクノロジーの進化によってどこでも働ける状況にあるからこそ、「わざわざ行く価値のあるオフィスを作っていく」(同社代表取締役社長・平井嘉朗氏)という。

●会議を進行するAI、お茶をいれるロボットアーム
○会議を支援するAIの開発を進行中

ここからは、そうしたコンセプトに沿って作られた「近未来」のオフィス空間のプロトタイプ展示を見ていく。

イトーキというとオフィス家具の老舗のイメージが強いが、2014年から日本ユニシスと共同でAI開発に取り組むなど、ICT活用の研究を行っている。今回展示されていたのは「会議支援AI」を組み込んだミーティングスペースだ。

音声と映像を元に、会議参加者の表情や発言、ホワイトボードの書き込みを認識。会議の状態をリアルタイムに知覚。状況に応じて適した行動を選択し、例えば議題に関連性の高いニュース記事などの情報を壁面に表示するなどして場の活性化を図る。強化学習という手法を用いて、AIの働きかけが会議によい作用を与えた場合に報酬を与えることで、会議を繰り返すことで支援の精度が向上する。

○ロボットがコミュニケーションを活性化させるラウンジ

「Lounge Work コミュニケーション」エリアでは、主にロボットを活用し、働く人同士のコミュニケーションを活性化させる仕掛けが展示されていた。富士ソフトのロボット「PALRO」が対話相手の顔を覚え、個々人に合わせた情報を提供したり、デンソーウェーブのロボットアーム「COBOTTA」が茶道の名人の動きを再現して抹茶を点てたりする。

○「いま使っている人」に合わせる個人ワークスペース

クラウドの発達などにより、ノートパソコンさえあれば仕事ができるという人もますます増えてきた昨今だが、パソコンだけでなく、働く人を取り囲むフィジカルな空間への工夫を提案したのが「ソロワークスタイル」の展示エリア。

3面の壁が取り囲んだ中には、社員IDから発するビーコンで、都度利用者ごとにパーソナライズされた設定で画像・文字情報を表示。IBMの「Watson」を活用したブレインストーミング支援システムも搭載しており、デジタルな付箋にキーワードを書いて壁に投げ込むと、Watsonが関連すると思われるワードを自動的に生成する。

AIやIoT、ロボットといった注目のワードが目を惹くが、一貫した狙いとして、会議や執務など人間の仕事をテクノロジーによって支援し、"オフィスが労働者に対して働きかける"ようなしくみを提示している。なお、ここまでの展示は販売を想定したものではなく、参考出展となっている。

●オフィスに足りなかった「健康」への意識を促進
○近未来のオフィスの実現を見据えた新製品群

ここまで見てきたような「近未来=アサッテ」のコンセプトを実現するには、今から準備しなければ間に合わないと語った同社代表取締役社長・平井嘉朗氏。導入することでフレキシブルなオフィス空間を設計できるオフィス家具を複数発表した。

中でも一番"未来的"な姿をしていたのは、2016年12月から発売される「PiO frame(ピオフレーム)」。人工芝とメタルフレームを組み合わせたスペースで、目的に合わせて簡易ミーティングスペースや歓談スペースなど、多様な利用が可能だ。

この製品は同社が提案する「Workcise」をもとにした設計がされており、ぶらさがってストレッチや懸垂などの運動が可能な強度となっている。これまでのオフィス環境では「創造性」が強く提案されてきたが、それには土台となる「健康」が不可欠であることを強調。「健康な人がオフィスに来る」という認識から、「チームにおける健康や、各人の健康の維持」へとオフィスにきても健康でいられるような、健康作りへの意識づけを促す設えの提供を目指している。

このほかにも、可変性の高いワークステーション「ActLink(アクトリンク)」や、一カ所から導入できるセキュリティシステム「Seculecti(セキュレクティ)」など、1つのオフィスの中に多様な用途の設えを実現する新製品が紹介されたほか、

テレワークなどに代表される「働き方革命」が進められている昨今だが、オフィスだからこそできる共創の促進や、個人宅やカフェよりも質の高い執務空間など、「あえて行きたくなる」オフィスに対するアプローチが詰まった展示となっていた。参考出展されていたさまざまな提案が近い将来に実用化され、その記者発表会が開かれることを期待したい。

(杉浦志保)