ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が先日日本を訪問し、安倍晋三首相と会談した。日本政府が今後5年間で、官民合わせて8000億円の支援を実施することを発表したほか、天皇陛下との会談で同氏が「日本人は友だち」と発言したことが伝えられた。これに対して、中国では「焼きもち」のような感情が生まれたようだ。

 中国メディア・今日頭条は5日、「親中国家が『日本人は友だち』と言った」とする記事を掲載した。記事は、冬が近い今の季節に、同氏の訪日が日本に「春のような温かさ」をもたらしたと説明。日本政府が9月に約束した1250億円に加えて、今回さらに8000億円の支援を発表すれば、先の大戦について言及された天皇陛下に対して同氏が、「ミャンマーの人たちは日本人を友だちだと思っている」と優しく語ったと伝えた。

 そのうえで、同氏の発言は日本にとって「侵略戦争の美化という目的を一部で達成し、戦後日本のイメージづくりという点でも勝利した」事の表れであると解説。日本はミャンマーを民主政治網や安全保障という戦略上重視しており、地道な調査と官民を合わせたあらゆるルートを駆使したコミュニケーションを通じ、現地人の生活改善に向けて数々の貢献を果たすことで、現地の民意を獲得してきたと分析した。

 一方、西側からの制裁を受けていた軍事政権時代は「中国の支援があったからこそ、独立が維持できた」との見方から、中国国内では「親中国家」と認識されているミャンマーと中国の関係に変化が生じていると指摘。同氏は対中関係を「極めて良好」としているものの、日本との距離を近づけることで「戦略的バランス」を調整し、両陣営から最大の利益を得ようとしていると論じた。

 そして、数十年前から日本がミャンマーにまいてきた種がついに結実し始めている中、「距離は近いが、心は遠ざかっている」中国とミャンマーの現実は「最も警戒し、反省すべきことだ」としている。

 同氏は新政権発足後、8月中旬に中国を訪問して李克強首相、習近平国家主席と会談している。ASEAN加盟国以外では最初の外訪先に中国を選んだことで、中国との関係を依然として最重要視している姿勢を示したと言える。しかし、中国にしてみれば「これまでいっぱい頼っていてくれたのに・・・」という心境だろうか。民主化へと大きな舵をきったミャンマーを巡っては、今後も「関係を守ろうとする中国」と「絆を強めようとする日本」との間で激しい外交合戦が繰り広げられることだろう。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)mikewaters/123RF)