続々とオープンする新店と、昔から多くの人に愛される名店が混在するのが、恵比寿エリアの特徴。

出来立てホヤホヤ、注目の新店もいいけれど、確かな実力があるからこそ長年この激戦区で生き抜く名店を、人気メニューとともに総ざらい!



ガーリックビーフステーキ。赤身の旨いアンガスビーフのサーロインに、甘みあるタマネギとニンニクのソースがベストマッチ。ソースも付け合わせもトッピングもすべてニンニクという強烈なパワーフード
ニンニク一筋30余年
多彩な料理で魅力を堪能『にんにくや』

恵比寿


1983年のオープン当時、界隈にあった飲食店はこの店と、トゥクトゥクがあるタイ料理屋だけ。イタメシブームにより、ガーリックが市民権を得るのも、もう少し後のことだ。

レーサーだった先代が世界中を巡り、そこで出合ったニンニク料理に魅了されて開いたという、当時としては革新的で挑戦的な一軒だ。



海老のガーリックチリ。ふわりと香るニンニクが深みとコクを添える

店名の通り、そろう料理はすべてニンニク関連。煮る、焼く、蒸す、揚げるなど食材の魅力を引き出すべく、ニンニクも自在に姿を変える。この道一筋20年のシェフによる、名人の技だろう。ところでやはり気になるのは、匂い。

香りや甘みを引き出し、特有の臭みは軽減する専門店ならではの技はあるが、それでも少しは覚悟が必要。だが、この匂いもまたニンニクの魅力なのだ。



名物! ガーリックトースト。3時間煮ることで辛味を消し旨さを引き出したニンニクペーストがたっぷり



料理に合わせて姿を変えるニンニク。写真は自家製の黒ニンニク



変わらぬ内装に、古い馴染客も喜ぶという




牛ほほ肉の赤ワイン煮 。心もお腹もあたたまる、ビストロの定番料理。時間をかけて丁寧ににこまれた肉はほろりと崩れる。なめらかなポテトのピュレと一緒に、ソースも余すこと無く味わいたい
※時期などによって、メニューの変動あり。
愚直なまでに“王道ビストロ”を貫く
『Le Lion』

恵比寿


開店当時から落ち着いた印象であることは変わらないが、一晩置いたカレーの味が馴染むように、この空間もまた、10年を経てさまざまな調度品がよりしっくりと融け合っている。

店名に“ビストロ”と冠していても、微妙にアレンジが施されていたり、どことなくイタリアンの要素が混じっていたり……という店も多いが、ここは、どこを切っても「そうそう、ビストロってこうだよね!」と腑に落ちる。

田舎風パテ、エスカルゴ、カスレ、ゆでたまご+自家製マヨネーズのウフ・マヨ、アンドゥイエットetc.。この安心感が、道理の分かった大人の客を惹きつけ続けているのだ。



燻製ニシンとじゃがいものサラダは、バターの濃厚さが密かなポイント



クリュディテは野菜のお惣菜のアソート。コリアンダーが香るキャロットラペ、色鮮やかなビーツ、クリーミーな根セロリなど



黒板ならぬ特製“赤板”メニュー!



店内奥、厨房の前には立ち飲みカウンターも



赤と“フランスらしさ”がテーマの空間



ゆったりとしたテラス席も


20年変わらない、がぶ飲みワインスタイルが魅力の人気店といえば?



森の木の子のクリーム煮。バターでじっくりソテーした木の子に少量のトマトソースを加え、生クリームで煮込んだ創業以来の人気料理。コクのある風味で、とくに白ワインと抜群の相性をみせる
※時期などによって、メニューの変動あり。
創業から守り続けるシンプル料理とがぶ飲みワイン
『Jack Pot恵比寿』

恵比寿


かつてはワインといえば、カチッとしたレストランで気取って味わうものだった。やがてバル・ビストロ文化が成熟し、ワインは身近になる。その原動力としてここ『Jack Pot』が果たした役割は、決して小さくないだろう。

創作料理とがぶ飲みワインの店という20年前から変わらぬスタイル。シェフもマネージャーも創業当時から変わらぬ姿で常連客を迎える。内装は少しだけ変わったが、グランドメニューのなかには20年選手もちらほら。

ガーリックライス、エビマヨ、木の子のクリーム煮など、シンプルだからこそ飽きのこない料理が揃っている。「変わらないこと、ブレないこと」と継続の秘訣を語るマネージャー。それが何より大切であることは、今日も店を包む活気が証明している。



スプリングラムチョップ。NZ産最上級ラムを塩コショウ香草でシンプルに。クセはなく驚くほどの柔らかさ



タラモサラダ。コク深く仕上げたサラダをバゲットにサンドした逸品。タラコのプチプチ食感が絶妙



生牡蠣。濃厚な仙鳳趾産と岩手のまこと牡蠣の2種



『Jack Pot』20年! 生え抜きメニュー!



増床を経たが木の優しさに包まれる温かみは健在




本日の鮮魚カルパッチョ盛り合わせ。この日は根室のイワシ、気仙沼の戻りガツオ、釧路の新サンマなどが。大葉のソースや唐辛子のソース、付け合わせの果物や野菜と共に
※時期などによって、メニューの変動あり。
自由闊達さは変わらずに、より素材に重きを
『fummy's grill』

恵比寿


フレンチやイタリアンをベースに、新鮮な素材と世界各地の調味料を自在に組み合わせた「カリフォルニアキュイジーヌ」が、食のトレンドに躍り出たのは、約20年前。その草分け的存在として開店したのが『フミーズグリル』。

だが、料理のコンセプトやメニューは、実は2015年にリニューアルしたという。長くマネージャーを務める小林暢寿氏によると「ここ数年は全国の生産者の方からの食材を多用していたこともあり、より素材コンシャスな方向へとシフトしました」。

2016年6月シェフに就任した小野慎太郎氏も、鎌倉の市場に仕入れに行くなど、季節の食材を楽しみつつ、和洋中の技法を織り交ぜて料理。時代に合わせてフレキシブルに発展する姿勢に、創業時の魂は宿っている。



鴨胸肉の西京味噌焼き。

和の素材や調味料も積極的に取り入れる。



フロアは、気候の良い時季には窓が開け放たれて開放的な雰囲気。オープンキッチンに面したカウンター席も



大人数で楽しめるロングテーブルも