■WEEKLY TOUR REPORT  
米ツアー・トピックス

 PGAツアー参戦2年目の岩田寛が、サンダーソンファームズ選手権(10月27日〜30日/ミシシッピ州、カントリークラブ・オブ・ジャクソン)で粘り強いプレーを見せて、5位タイと奮闘した。この結果、今週のシュライナーズ・ホスピタル・フォー・チルドレン・オープン(11月3日〜6日/ネバタ州、TPCサマリン)の出場権を獲得(結果は予選落ち)。新たなシーズンは、岩田にとって上々の滑り出しとなった。

「後半のバーディーで一瞬首位に並んだので、(優勝も)あるかなと思ったけれど、なかった」

 サンダーソンファームズ選手権のラウンド後、優勝を逃した悔しさを見せた岩田。しかしその一方で、「2年間、不調だった」というショットの復調の手応えをつかんだのだろうか、どこかうれしそうな表情も見せていた。

 米ツアー本格参戦1年目の昨季(2015−2016シーズン)は、2月のAT&Tペブルビーチ・プロアマで4位になったのが最高位の岩田。結局、フェデックスカップポイントは146位にとどまり、125位までに与えられるフルシード権は獲得できなかった。

 そのため、9月には今季(2016ー2017シーズン)のシード権の再獲得を狙って、ウェブ・ドット・コムツアーのファイナルズ(計4試合)、いわゆる下部ツアーとの"入れ替え戦"に出場したが、初戦から出遅れ。さらに、最終戦が東海岸を襲ったハリケーンの影響で中止になるという不運にも見舞われ、シード復活はならなかった。

 こうして岩田は、2016−2017シーズンには昨季のフェデックスカップポイント146位という立場、つまり"コンディショナル"と呼ばれる資格でツアーを戦うことになった。となると、上位の選手がたくさん欠場する試合や、今回のサンダーソンファームズ選手権のような、世界選手権(WGC)の裏試合など、限られた試合にしか出場ができない。

 そんな厳しい条件ゆえ、新シーズンはどうするのだろうか? そう思っていたら、岩田はその点についてこう語った。

「限られた試合しか出られないので、その限られた試合でやるしかない。下部ツアーには出ないけど、PGAツアーと、あとは日本ツアーでやる」

 岩田は、あくまでも"主戦場はPGAツアー"という気持ちを固めていた。非常にタフな戦いになるだけに、その決断には少々驚いた。

 そうした状況にあって、今回の"5位"という結果は大きな意味を持つ。出場試合でトップ10入りすれば、次戦にも出場できる資格を得られるからだ。そして今後、さらにいい成績を残していけば、"スポンサー推薦"をもらって出場試合を増やすこともできる。もちろん優勝すれば、フルシード権はすぐに得られる。

 この岩田の挑戦を、秘かに応援している選手がいる。岩田にとっては、東北福祉大の後輩であり、PGAツアーでは"先輩"となる松山英樹だ。

 松山はこの週、中国の上海で開催された世界選手権シリーズのWGC HSBCチャンピオンズで2日目から首位に立って独走。岩田はその裏の大会で奮闘し、時差の関係でテレビ観戦もできなかったというが、自らの最終日を迎えた朝、松山の圧勝を知った。それで、岩田がすぐに連絡を入れると、松山からも返事がきたという。

「LINEで(メッセージを)送りました。返事はきましたよ。日本オープンで優勝したとき(に送った返信)は、すごく素っ気なかったけど、今回はちゃんとしたやつ(「がんばってください」という激励)もあった(笑)」

 岩田はそう言って、照れくさそうに笑った。

 岩田を応援しているのは、松山だけではない。松山のキャディーを務める進藤大典氏もそうだ。彼もまた、同じ東北福祉大出身で、ゴルフ部の仲間。この秋、岩田が日本ツアーに出場して絶不調だった際には、進藤氏からちょっとした"助言"を受けたという。

「英樹のキャディーから『いい本がある』と薦められて、それを買って読んだら、2年くらいよくない状態が続いていたショットが、すごくうまくいくようになった」(岩田)

 ショットが復調し、パットが決まったこともあって、サンダーソンファームズ選手権の岩田のプレーはとても安定していた。"苛立ち"を見せることもなく、気持ちも安定していた。最終日は上がり4ホールでパーを死守。トップ10入りへとつなげた。

 松山と並んで、日本人選手によるPGAツアーの"ダブル優勝"は叶わず、「それには、もうちょっと練習しないとね」と、岩田は苦笑いを浮かべた。それでも、先をいく"後輩"の背中を追いかけていく決意は固い。

 今週のシュライナーズ・ホスピタル・フォー・チルドレン・オープンのあと、年内はRSMクラシック(11月17日〜20日/ジョージア州、シーアイランド)に参戦する予定の岩田。PGAツアーでの夢を追う戦いは、これからが本当の勝負だ。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN