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富士通研究所は11月7日、人工光合成における太陽光のエネルギー変換反応を高効率化する新しい材料技術を開発したと発表した。同成果は、10月19日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

水素や有機物など貯蔵可能なエネルギーを人工的に生成するためには、太陽光のエネルギーを用いて光励起材料から反応電子を効率よく取り出し、電極において効率的に水やCO2と化学反応させることが必要となる。これまで、太陽光と水が反応する明反応の電極においては、半導体材料や、比較的大きい粒子状の光励起材料を密度の低い構造で固めた材料が用いられていたが、太陽光のなかで利用できる波長の範囲が狭いことから、化学反応に十分な電流量を取り出すことが困難であった。

同社は今回、フレキシブル実装シート上にキャパシタなどの受動素子を形成するための電子セラミックスの成膜法「ナノパーティクルデポジション(NPD)」を改良し、光励起材料の原料粉末をノズルで吹き付ける際、原料粉末を薄い板状に破砕しながら基板上に積層させる薄膜形成プロセス技術を開発。光励起材料の原料粉末を、成膜後に原子レベルのひずみを持つ結晶構造となるような組成にすることで、太陽光のエネルギーを吸収できる最大波長を、同技術適用前の490nmから630nmへと広げることに成功した。

形成された薄膜は、ミクロ・マクロな欠陥がないため結晶性が良く、材料中の粒子間の電子伝達特性に優れた緻密な構造となっているため、太陽光で励起された電子を効率的に電極に伝えることが可能。薄膜の表面構造は、材料と水との反応表面積が従来の50倍以上となるもので、また材料結晶中の電子密度の高い結晶面が膜表面に規則的に形成されている。この結果、水と光の相互反応を促進させることができたという。

同社は今後、光励起材料とプロセス技術のさらなる改良を進め、明反応の電極の特性向上を図るとともに、暗反応部・全体システムの技術開発についても取り組み、人工光合成技術の実用化を目指していくとしている。

(周藤瞳美)