(写真提供=SPORTS KOREA)

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「韓国国内だけでなく、日本、アメリカ、中国などにキムチを輸出して、韓食の世界化を達成したい」

「キムチの輸出は他の製品と違って、私たちの伝統と文化を外国に知らせて拡散させるという意味も大きいため、放棄することができない」

これらは、韓国のキムチ製造関係者たちのコメントだ。11月上旬から韓国ではキムチを漬けるシーズンが始まるのだが、上記のコメントを見れば、韓国におけるキムチへの情熱が伝わってくると思う。

韓国保健福祉部が2014年に発表したデータを見ると、成人一人当たりのキムチの一日の消費量は62.5g。韓国人の主要食品のなかでも米(151.7g)、牛乳(66.7g)に次ぐ3番目に食べられている品目がキムチであることがわかる。

一昔前までキムチは各家庭で作るものであったが、最近は「忙しくて作れない」「長期保管するのが困難」などの理由から手作りする人が減っているとも。それでも20〜30代の若者たちの間では近年、キムチ作りが流行しているそうだ。

キムチ輸出量にショックを隠せない

そんな“韓国の誇り”ともいえるキムチは、韓国ドラマやK-POPのように、韓国文化の一つとして海外に拡散させる戦略がとられている。実際に、マレーシアへの輸出は順調で、ここ5年間で平均成長率14.5%を記録しており、今後も拡大が期待されているという。

ただし、キムチの輸出量は全体で見ると年々減少しているのが現実だ。

農林畜産食品部によると、キムチの輸出量は2012年の2万7664トンから、2013年2万5631トン、2014年2万4742トン、2015年2万3111トンと右肩下がり。韓国キムチの輸出が減少している原因について、農林畜産食品部の関係者は「韓国産キムチの輸出量で日本の占める割合が2012年80%から2015年60%にまで減少している」と、韓国メディアに漏らしている。

日本だけでなく、中国への輸出もうまくいっていない。韓国政府は年初に100万ドル規模の韓国産キムチを中国に輸出すると謳っていたが、現実には対中国キムチの輸出額は23万9000ドル(1月1日〜10月16日)で、目標額の4分の1にも満たない。

この結果は、韓国にとってショッキングなことかもしれない。

李明博政権時代には、外国からの韓国のイメージをアップさせるためになりふり構わず強引に「国家ブランド委員会」を作り、その流れのなかで2010年に「世界キムチ研究所」を設立して、“キムチ世界化”のために尽力してきたからだ。

しかし国家予算が通算1000億ウォンも投入されている世界キムチ研究所は、最近になって「なんの成果も生み出せていない」などと非難を浴びているらしい。

(参考記事: 韓国が国家予算1000億ウォン投入した「世界キムチ研究所」の実態

輸出より輸入のほうが意外に多かった!!

不調な輸出とは対照的に、海外からキムチを輸入する量は増えているのだから意外だ。

キムチの年間輸入量は、2012年の21万8845トンから、2015年22万4124トンにまで増加した。今年も1月から8月で約16万トンが輸入されている。輸出量と輸入量に、なんと10倍もの差が生じているのだ。

こういった韓国のキムチ事情を見ると、韓国が思い描いているキムチ像と世界が見ているキムチ像には、明らかなズレがあるように思えてくる。韓国が想定するほど、世界はキムチを求めていないのかもしれない。

食文化の違いは、根深いのが常だ。つい最近もイギリス外務省の次官が韓国の犬食文化を非難したというニュースがあったが、韓国では違和感を覚えた人が多かったという。

いずれにしても“キムチ宗主国”として世界進出を推し進めている韓国。“キムチの世界化”への道のりは険しくとも、そのチャレンジは続きそうだ。

(文=慎 武宏)