治療に没頭していると偽薬でも効果アリ?(写真はイメージ)

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慢性腰痛の患者に、偽薬であると伝えて服用させているのに、痛みや機能障害が大幅に解消されていた――興味深い研究結果が、ポルトガルのヌエバ・デ・リスボン大学医学大学院やエガス・モニス病院、米ベス・イスラエル・ディコネス医療センター、ハーバード大学医学大学院の研究者らによって発表された。

新薬との比較試験などで使われる偽薬(プラセボ、実際には効果のない別の成分を含む薬剤)を服用していても、治療効果が表れる「プラセボ効果」は、服用する患者が治療薬だと信じていることが前提となる。

偽薬には何の作用もなくても、患者自身が無意識に治療効果を期待することで症状の改善につながっていることは、先行研究が示唆していた。しかし、偽薬と認識したうえでの服用効果の研究は珍しい。

今回の研究では、エガス・モニス病院で、非ステロイド性抗炎症薬による標準治療を続けている慢性腰痛の患者97人を、無作為に2グループに分類。

一方には標準治療だけを続けてもらい、もう一方には「1日に2回、腰痛には効果のないこのセルロース(炭水化物)の錠剤を飲んでください」と偽薬であることを伝え、3週間に渡って両グループの状態を観察している。

偽薬であることを強く意識させるため、瓶のラベルには「成分:セルロース100%」と明記。また、どちらのグループも指定された治療以外の運動や薬、サプリメントなどの使用は禁止し、条件は均一になるように調整されている。

症状の改善状態は、痛みを1〜10のスコアで自己申告する「Numerical Rating Scale」と、身体機能の状態を評価する「ローランド・モリス障害評価」で判断している。

その結果、標準治療のみのグループは比較的軽症の患者で症状改善が9%、重症の患者で16%だったのに対し、偽薬グループはすべての患者で30%以上の症状改善が見られ、痛みも身体機能の低下も大幅に回復していた。

筆頭著者であるクラウディア・カルバリョ博士は、プラセボ効果を患者へのごまかしなしでも確認できたとし、「万能薬とは言わないが、副作用リスクゼロの補助治療として、腫瘍や失血管疾患、うつなどにも同様の効果があるのではないか検証したい」とコメントしている。発表は、2016年10月13日、国際疼痛学会誌「Pain」オンライン版に掲載された。

参考論文
Open-label placebo treatment in chronic low back pain: a randomized controlled trial.
DOI: 10.1097/j.pain.0000000000000700 PMID:27755279

医師・専門家が監修「Aging Style」