元・貧困女子FPが教える! 転職して「失うお金」と「デメリット」

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元・貧困女子のFP石川福美が、「貧困」を経験したからわかったお金の話をします。第1回は「転職して失うもの」です。

社会に出て数年が経つと、将来のキャリアアップや働きやすい職場環境を求めて、転職を考え始めるアラサー女子も多いかもしれませんね。転職というと「お給料が上がる」「やりたい仕事ができる」といったメリットばかりをイメージしがちですが、実は転職によって失うものもあることを知っておかなくてはいけません。

■元・貧困女子FPが転職を繰り返してわかったこと

今でこそファイナンシャルプランナーとして、こうしてお金に関するアドバイスをする立場になりましたが、実は私自身も過去に転職を繰り返した時期がありました。正社員や派遣社員、アルバイトなど働き方もさまざまで、現在の仕事を含めて計6つの職場を経験しています。それで実感したのは、「勤め先や雇用形態が変わると、自分が得られる権利もこれほど大きくちがうのか」ということ。当時の私は、会社の制度やお金に関する知識がまったくなかったので、転職のたびに自分がいかに大きなものを失っていたのか気づいていなかったのです。

正社員を辞めて派遣社員になった後、20代半ばで突然体調を崩して働けなくなったことがありました。私はそのとき初めて、派遣社員と正社員では使える福利厚生制度に差があることを知りました。私の場合は休職期間中に使える制度がほとんどなく、少ない貯金を切り崩しながら不安な日々を送ったのです。

もちろん、派遣社員を選択するなと言っているのではありません。ライフプランやキャリアプランによって、どんなワークスタイルを選ぶべきかは人それぞれちがってくるからです。大事なのは、どんな働き方や職場を選ぶにしても、「自分が今持っている権利は何か」をしっかり把握すること。そして転職を考えるなら、「会社を移ることで失うものは何か」をきちんと確認することです。

■転職したら失うお金

“失うもの”の代表例が、私の経験からもわかる通り、会社の福利厚生です。福利厚生には、法律で定められた「法定福利」と、会社が独自に用意する「法定外福利」があります。法定福利は健康保険や雇用保険などで、基本的にはどの会社でも内容は変わりませんが、法定外福利は会社によって千差万別。例えば住宅手当や通勤手当も、非常に手厚い会社もあれば、ゼロの会社もあります。ですから、「今の会社は住宅手当が出るから、家賃の支払いは毎月2万円で済んでいる」という人が住宅手当のない会社に転職したら、今度は家賃をすべて自分で支払わなくてはいけません。もし家賃が8万円なら、毎月の出費は一気に6万円も増えることに! たとえ転職してお給料が上がっても、自由に使えるお金はかえって減ってしまった、ということになりかねません。交通費も同様で、今より遠くで交通費の出ない会社であれば、同じく自由に使えるお金はかなり減ってしまうのです。
税金面で優遇される財形貯蓄や、民間の保険より掛け金が安い団体保険も、会社によって取り扱いが異なります。今の会社で財形貯蓄や団体保険に加入している人が、これらの制度がない会社に転職した場合は、今まで得ていたメリットを失うことになるので注意が必要です。

また会社によっては、従業員が亡くなるとご遺族の方へ年収の2倍もの金額が支払われることも。一方で、数万円のお見舞金が出るだけの会社もあり、万が一のときにもらえるお金もかなりの差があることを知っておきましょう。

転職の際には、今の会社と転職したい会社の福利厚生をしっかりチェックすることを忘れないようにしましょうね。

■転職の回数が多い際に気をつけたいデメリット

転職を何度も繰り返すと、社会的信用力を失うことにもつながります。例えば銀行で住宅ローンを組むときは、審査の際に必ず勤続年数をチェックされます。金融機関によって「同じ会社に最低○年以上勤めていないとお金は貸せない」といった決まりがあるので、短期間で転職するとそのたびに勤続年数がリセットされたことが不利に働き、いざ住宅を買おうと思ったらローンを組めなかった、ということもありえるのです。また、前職の経験やスキルを生かして次のステップへ進む“キャリアアップ転職”なら問題ないのですが、会社を移るたびに職種がコロコロ変わる場当たり的な転職が多いと、それだけで銀行の評価は下がってしまいます。

■転職検討中の人へのマネーアドバイス

いま転職を考えている人は、ぜひ家計簿をつけることをオススメします。アラサー女子の場合、「年収が下がってもいいから、自分がやりたい仕事につきたい」と考える人も少なくありません。かといって、生活が苦しくなるほど収入が下がってしまったら、やりたいことも長続きしないでしょう。家計簿をつければ、「ひと月に最低限いくらあれば生活できるか」を把握できるので、転職先の収入がどこまで下がっても大丈夫かを確認できます。また、「ひと月の生活費に比べて貯金が少ないので、今の会社を退職してから1カ月以内には次の職場を決めないといけないな」といった転職活動の計画も立てられます。

転職活動中は、今の職場に対する不満や転職先での明るい未来を思い描くことで頭がいっぱいになりがちですが、まずはお金に関する現状を正しく理解し、転職した場合のメリットとデメリットを冷静に比較することからはじめてください。

(石川福美/クレア・ライフ・パートナーズ)