ダイヤモンドが今後も「永遠の輝き」であり続けるために

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ダイヤ大手のデビアス(De Beers)は先ごろ、2014年から毎年発表している報告書「ダイヤモンド・インサイト・レポート」を発表した。51枚に及ぶ2016年版報告書は、同社のブルース・クリーバーCEOのこんな言葉の引用で始まっている。

「2015年、ミレニアル世代がダイヤに費やした金額は260億ドル(約2兆7,000億円)。そのほかのどの世代よりも多かった」

2016年夏には、エコノミストやハフィントン・ポスト、CNBCやCBSニュースといったメディアがこぞってミレニアル世代のダイヤモンド離れを報じていた。だが今回のデビアスの報告書は、それを否定する内容だ。報告書によれば、2015年のダイヤ小売売上において、4大市場(米国、中国、日本、インド)では45%、米国市場では41%をミレニアル世代が占めた。

ダイヤ業界の長期的な繁栄を考える上でミレニアル世代獲得は必須条件だ。また、彼らはジュエリー界において”結婚適齢期の人々”という最も重要な顧客層でもある。ダイヤの婚約指輪は業界にとって最も頼れる主力商品、かつ収入源、一方の若者にとっては、プロポーズの思い出と結びつくものでもあり、ダイヤモンドへの”入り口”となる存在だ。

ミレニアル世代は、物質的なものよりも旅行などの経験に価値を見出すとか、社会的意識が高く情報にも通じていることから、愛の象徴としてのダイヤの魅力を疑問視するようになっているとか言われている。その真偽はともかく、デビアスの2016年版の報告書は、同世代がダイヤについてまだ結論を出したわけではないことを示している。

「米国だけでも、ミレニアル世代からのダイヤ需要は1999年の100億ドルから2016年には160億ドルに増えている。同世代は既に世界的需要の推進力となっており、またダイヤの将来の可能性を担う重要な存在となっている」

ミレニアル世代の新たな顧客を引きつける上で、最大の障壁は、メディアで広まりつつある「ダイヤモンドの先行きが暗い」という考え方かもしれない。確かに2015年、業界が世界的な需要を過大評価したことを主な理由に、ダイヤの価格は下落した。

だが中国とヨーロッパでの売上が振るわなかったにもかかわらず、コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)の調査によれば、世界全体での2015年の小売売上高は4%増加した。売上増のけん引役となったのは米国市場だった。デビアスも2016年4月までに、全世界で790億ドル(約8兆2,070億円)のダイヤ市場において米国市場の需要は390億ドル(約4兆500億円)規模で記録的高水準にあると発表した。

言い換えれば、ダイヤモンドは今も不動の人気を誇る商品なのだ。ダイヤの婚約指輪は今でもよく売れている。結婚情報サイトのザ・ノット(The Knot)が結婚を控えた女性を対象に毎年実施している調査によれば、現代のカップルは婚約指輪に平均5,871ドル(約61万円)を費やしている。米国の平均結婚年齢が28歳であることから、購入しているのはほぼ間違いなくミレニアル世代と言ってもいい。

ミレニアル世代の最年少はまだ15歳だ。つまり今後10年以上にわたり、この世代に良いアピールをしていかなければならない。そこで業界が直面するもう一つの障壁が、ダイヤとその波乱に満ちた歴史についての消費者の意識の高まりだ。

ブラッド・ダイヤモンドをめぐる報道は、ダイヤのイメージとともに、1938年にデビアスが謳い始めた「ダイヤモンドは永遠の輝き」という有名なキャッチコピーにも悪影響を及ぼしている。

デビアスは、競争の激しい高級品市場においてミレニアル世代の関心を得続けるにはかなりの努力が必要になるだろうと認めている。だがミレニアル世代がダイヤモンドに興味がないと考える理由はない。むしろ、ビヨンセの『シングル・レディース(プット・ア・リング・オン・イット)』に合わせて歌い、ソーシャルメディア上で「指輪の自撮り」の流行を生んだこの世代は、少なくとも今は、ダイヤモンドが大好きなように思える。