履正社戦で4ゴールを叩き出した郡司。トレーニングでは課題が多かったものの、実戦で結果を残した。写真:川端暁彦

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 10月31日から11月3日にかけて大阪府内を舞台にU-16日本代表候補合宿が実施された。狙いは至ってシンプルで「それが目的というか、それしかない」(森山佳郎監督)来年のU-17ワールドカップに向けた新戦力発掘である。
 
 メンバーリストに名を連ねた25名のうち実に16名が初招集。9月のU-16アジア選手権に参加していた23名は全員が選外というなかで、従来のメンバーに「割って入ってこられる選手がいるかどうか」(同監督)を見極めるための4日間である。履正社高、G大阪ユース、C大阪U-18の3チームと練習試合を組んだ上で、短い時間で代表のコンセプトを消化して実戦のなかで自分の武器を含めて表現できるかどうかを探ることとなった。
 
 3日目に行なわれた履正社とのゲームで抜群の存在感を見せたのは初招集のMF郡司篤也(市立船橋高)だろう。今年のインターハイでも5得点を奪うなど結果を残した1年生だが、実は練習のなかでの評価は最低に近かった。ただ、ゲームとなれば話は別とばかりに躍動。常にゴールを意識して動き出せる個性を出しつつ、抜け目ない決定力も発揮して40分ハーフの後半のみのプレーで4得点を記録した。
 
「自分の持ち味を出していけた」と郡司本人も振り返るプレーぶりだった。もっとも、翌日のC大阪U-18戦では相手のプレッシャーに苦しんで思うように前を向けず。1アシストは記録したものの、課題も露呈することとなった。
 
 その中で最も安定して質の高さを見せていた初招集選手はMF井川空(札幌U-18)だろう。178センチと上背もあり、センターバックとしてもプレー。持ち味であるロングパスを大きく左右にさばくプレーに加えて、「右でも左でもミドルが打てる。ちょっとスケールが大きいし、『入れてみたいな』と思わせてくれた」と指揮官からも高評価。
 
 井川自身も「要求されるプレースピード、判断スピードに追い付いていなかった。もっとリーダーシップもとらないといけなかった」と反省しつつ、同時に「ストロングも見せられたと思う」と手応えを得た様子だった。
 
 復帰組ではDF池高暢希(浦和ユース)が非凡なプレーを持続的に見せた。「ゴールに向かって追い越していく迫力がかなりあった」と森山監督が評価したように、主に攻撃面での持ち味を発揮。かつてはアタッカーとして招集されていただけに、SBにコンバートされてから初めての挑戦となったが、「悔しいし、自分も入りたいとずっと思っていた」という思いをぶつけるように猛烈なアピールを見せた。
 
 他にもMF本間至恩(新潟U-18)も持ち味であるドリブルと得点力で存在感を誇示。彼ら復帰組のプレーぶりについて指揮官は「代表に戻りたいという思いが伝わってきた」と高い評価を与えており、紹介していくと切りがなくなるほどだ。
 
 全体として言えば、2年間にわたって鍛え抜かれてきた選手たちとはベースの意識の部分でまだ差も大きい。練習から総じて苦戦気味の選手から揃って聞かれたのは「所属チームより求められることの基準が高い」ということ。「動き出すタイミングや、動いたところと相手の状況を把握すること」(森山監督)といったプレーの質はもちろんのこと、「いつも来ている選手たちに比べたら、量からして本当に少な過ぎる」と指摘された食事に対する意識の不足まで、指揮官やスタッフ陣からの指摘は多岐にわたった。
 
 森山監督はベストメンバーで臨む12月のチリ遠征に向けてこの合宿から選ぶ選手を「2、3人」と予想しつつ、「今後の成長次第で5、6人」とも述べた。ただ、たとえ直近の遠征に間に合わずとも、合宿を通じて受けた強烈な刺激は今後に生きてくるはず。世界を狙う00ジャパンが来たる舞台で躍進するためには、さらなる切磋琢磨が不可欠。その「芽」が確実に見えた合宿となった。
 
取材・文:川端暁彦(フリーライター)