映画『種まく旅人〜夢のつぎ木〜』で高梨は市役所勤めをしながら、実家の畑で桃を育てるヒロイン・片岡彩音を演じる

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桃の名産地・岡山県赤磐市を舞台に、夢を追うことの素晴らしさを描く映画『種まく旅人 〜夢のつぎ木〜』。今作で市役所勤めをしながら、実家の畑で桃を育てるヒロイン・片岡彩音を演じているのが高梨臨。亡き兄が夢見た新種の桃「赤磐の夢」を品種登録することを目指して奮闘する役をひたむきに生きた日々を振り返り、見どころを語ってもらった。

【写真を見る】岡山ならではの風景に感動したと語る高梨/撮影=荒木勇人

――日本の第一次産業を応援する映画『種まく旅人』シリーズも第三弾。今作は岡山の桃農家が舞台ですが、素晴らしい環境の中で繰り広げられた撮影現場はどんな雰囲気でしたか?

私はこの映画の撮影で訪れるまで、岡山県に行ったことがなかったんです。自然が豊かなイメージがあったので、そんな環境の中で人と人とのつながりが丁寧に描かれている人間ドラマを演じたら、すごくいい作品になりそうだなとクランクインの前からイメージが膨みました。実際に赤磐へ行ったら、地元のみなさんがすごく温かい方ばかりで。現場の和やかで温かい雰囲気が、そのまま私たちの座組にも伝わっていく感じでした。佐々部清監督もみんなを一つのファミリーにしてくれる方でしたし、斎藤工さんも共演経験があったので、緊張もなく楽しく穏やかな現場。撮影期間は、本当に幸せな時間になりましたね。

――彩音はどこにでもいる普通の人間ということで、佐々部監督からは「余計なお芝居やテクニックでのお芝居をしないで欲しい」という要望があったそうですね。

余計なものをそぎ落とす作業は、すごく難しかったです。でも、岡山の風景や空気が自分に合っていたので、“台詞を言う”という感覚ではなく、何も考えずに会話が自然とできたというか。場所からパワーをもらえたおかげで、すぐに彩音になじめたような気がします。

――最初はあまり自分の感情を見せなかった彩音ですが、農業の仕事に打ち込むうちに泣いたり、怒ったり、喜怒哀楽を出すようになっていきます。彩音を演じていて、人間らしくて魅力的だなと思ったのはどんなところですか?

女優の夢を追いかけて東京に出たけれど、その夢が叶わなくて心が折れてしまうんです。兄の死をきっかけに、兄の夢が自分の夢になってからも、一生懸命に農業の仕事をやっているのに上手くいかないと、やっぱり心折れちゃうんですね。そんな繊細なところが人間らしくて好きです。くじけそうになっても周りの人たちに助けられながら、あきらめずに頑張る姿は魅力的だなって。現実味のある人間として演じようと自分が感じたままに表現できた役になりました。

――農家のお仕事を実際に体験してみて、いかがでしたか?

本当に大変だなと思いました。ちゃんと農家の人に見えるように桃の扱い方から教えて頂いたんですが、手でもぎとるのは緊張しちゃって。いい桃だとひと玉3000円と高価ですからね。これは傷をつけちゃいけないなって(笑)。今回で桃や農家についてもいろいろ知ることができて、貴重な体験になりましたね。赤磐は特産品が多いのですが、撮影していた時期はちょうど葡萄の季節だったので、おいしいマスカットをたくさん食べたり。もちろん桃も毎日たくさん差し入れしていただいて、おいしいものだらけだったな。斎藤工さんも桃をたくさん召し上がっていて、劇中でも本当においしそうに、すごい勢いで食べているのが、印象的でした(笑)。

――赤磐市の方がエキストラとして参加するなど、地元の方とのふれあいながら撮影していたそうですが、すっかり赤磐のファンに?

そうですね。赤磐は畑に防蛾灯があるんです。防蛾灯の照明が夕方になるといっせいに畑を照らすんですが、その光景が本当にキレイ。劇中にも登場するので、ぜひ見ていただきたいです。彩音の居場所となった桃畑は、そこまでの道を何度も何度も行ったり来たりしたので、自分自身もすごく思い入れのある、大好きな場所になりました。

――日本の原風景は見るだけで癒されましたが、一番好きなシーンはどこですか?

彩音にとって赤磐は、女優の夢と自分を引き離した場所だったんですが、兄の代わりに「赤磐の夢」を育てるうちに胸を張って赤磐を好きになっていくんです。そんな気持ちを表現しているのが、「ここはどこですか? 赤磐です!」という台詞。私自身、撮影で三週間、赤磐の空気を吸っていたからこそ、心から気持ちを込めて言えた言葉になりました。

――では、最後に「種をまく旅人」シリーズを楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

岡山や赤磐の方に大切に思ってもらえるような映画になればうれしいです。赤磐を知らない方には、赤磐の方の人柄のよさや素晴らしい自然を見て、赤磐に興味を持っていただけけるきっかけになればいいなと思います。タイトルに「夢のつぎ木」とあるのですが、これは夢を繋いでいく物語です。私自身もいろんな出会いを接ぎ木のように繋いでいって、いろんな夢の種をまいていこうと思えた作品になりました。ほっこり優しい気持ちになれる映画になっているので、ぜひたくさんの方に見ていただきたいです!