中国で30年以上続いた「一人っ子政策」を廃止し、新たに「二人っ子政策」を導入してから1年。共産党系メディアは「年末には出産ラッシュが到来」と伝えている。写真は北京の産婦人科。

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2016年11月5日、昨年10月の中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で、全ての夫婦に2人の子ども出産を認める「二人っ子政策」が打ち出されてから1年が経過した。30年以上続いた「一人っ子政策」は完全に廃止。共産党系メディアは「今年年末には出産ラッシュが到来」と報じている。

1949年の中華人民共和国建国当時、中国の人口は約5億4000万人。その後、年2%の増加率で増えていった。そこで、中国政府は急激な人口増加を抑制するため、1979年に「一人っ子政策」を導入し、2人目の出産を禁じてきた。違反者は罰金を科せられ、職場を解雇されることもあった。

人口抑制の効果は見られたが、社会全体の高齢化や労働力人口の減少が目立ってきたことから、徐々に規制を緩和、2011年までには全国で両親が一人っ子同士なら2人産めるようになり、14年からは両親のどちらかが一人っ子なら2人産めるようになった。5中全会で「二人っ子政策」に大きくかじを切った背景には、日本以上のスピードで進行する少子高齢化が中国経済のさらなる減速を招きかねないとの習近平指導部の危機感がある。

共産党中央委員会機関紙「人民日報」の電子版・人民網によると、国家衛生・計画出産委員会の王培安・副委員長は9月末に開催された全国政治協商会議人口資源環境委員会座談会で、「今のところ、『二人っ子政策』は問題なく実施されており、2人目の出産状況は、予測とほぼ合致している」と述べた。

王副委員長は「今年、中国では出生届の届出件数は明らかに増加しており、新生児の数はかなり増えている。上半期の全国の新生児数は、前年同期比6.9%の831万人、2人目の子どもの割合は、同6.7ポイント増の44.6%に達した」と紹介。北京や広州などの大都市では、「二人っ子政策」の実施後、2人目の出産願望は徐々に高まり、公立病院の産科の多くでは出産受け入れのための枠を確保することさえ難しい状況に陥っているという。

今後の見通しについて、南開大学人口・発展研究所の原新教授は「様子見や、妊娠・出産準備などの要素の関係で、二人っ子の母親の多くは2人目を妊娠中というのが現状だ」と指摘。「本当の出産ラッシュは、早ければ今年の年末に到来するだろう」との見方を示した。

一方、「二人っ子政策」の実施後、ハイリスク妊婦への対応や小児科医の数などの分野で、新たな問題が浮き彫りになった。

人民網は、安徽省の病院関係者の話として「今年1月から10月まで200人以上の重度のハイリスク妊産婦を受け入れた。彼女らの多くが高年齢の妊産婦だった」と報道。小児科医不足の問題も深刻化し、上海や南京では小児科への受診制限、急診対応の暫定的停止、さらには小児科診察の一時的停止などの状況が生じている。(編集/日向)