加えて、東京都多摩総合医療センター心臓血管外科の外来担当医は、こんな説明をする。
 「他にも致死性の不整脈として知られているのが、『ブルガタ症候群』です。スペインのブルガタ兄弟が発見したところから、この名前が付いたそうですが、かつて若年から中年の男性が睡眠中に突然死してしまう、原因不明の“ポックリ病”と呼ばれていた疾患です。90年代に入り、これが『心室細動』の中でも突発性のものであることが分かってきた。その場合、普段から心電図で特徴的な波形を示していることも判明し、遺伝も大きく関係していると見られている。そのため、家族の中に不整脈で突然死した人がいたり、これまでに意識を失ったりした経験がある人は、まず心電図検査を受けておいたほうがいいでしょう」

 この「突発性心室細動」は、特に夜間に発症することが多いという。中高年では心筋梗塞や脳卒中で突然死する例は少ないが、一方で20歳〜50歳代の突然死の中に、「突発性心室細動」の場合が多く含まれているという見方もある。

 さらにもう一つ、致死性不整脈を起こす疾患として、最近になり「冠動脈起始異常」が増えているという。
 「この疾患は、心臓に栄養や酸素を送っている冠動脈が本来の場所とは違うところから出ている先天性奇形で、冠動脈が他の部位から圧迫されやすいため、血流が突然途絶し、再灌流障害を起こし、致死性の不整脈につながるのです」(専門医)

 この場合、かなりの経験を持つ専門医でも、診断できないケースが少なくないというから恐ろしい。
 前出・内浦氏の話。
 「診断が難しいとされる『冠動脈起始異常』ですが、医師から『冠動脈が痙攣するタイプの狭心症』と診断された患者さんの中に隠れていることが多い。そのため、症状が落ち着いている状態で3D-CT検査を行ってみると、そこで初めて気づくということがよくあります。患者さんも念のため知識を持っておくことが必要です」

 ただし、発見できた場合でも、「手術をして治すのか、経過観察をしてから治療に入るのか」という判断は非常に難しいという。
 「一般的には経過を見ながら治療する手段が取られますが、手術のケースも最近は多いと言われます。理想から言えば、本来とは違う形で出ている、もしくは入ってきている冠動脈を、正常な位置に戻すことができれば一番いいのですが…」(前出・専門医)

 ともあれ、不整脈の代表的な自覚症状は、動悸や脈が抜けるという感じの「心室細動」になることで、さらに「急に意識がなくなる。つまり失神する」タイプが一番怖い。一時的に心臓が止まっているか、または頻脈が起きている可能が高いからだ。
 「脈拍数が1分間に40以下で、体を動かす時、強い息切れを感じるケース、または突然始まる動悸。さらに脈拍数が1分間に120以上で、突然始まり突然止まる状態から、全く不規則に打つことなどが、まさしく病的現象となる。その場合は、できるだけ早く受診すべきです」(同)

 突然に死が訪れる不整脈を放置してはならない。