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●呼吸を忘れるくらいの撮影
ジョージ朝倉原作の大人気コミックを実写化し、気鋭の山戸結希監督がメガホンを取った映画『溺れるナイフ』(11月5日より公開中)。今や引っ張りだことなった小松菜奈と菅田将暉がW主演を務めるなど、キャストの豪華さも話題となっている。中でも、映画関係者の中でダークホース扱いされ注目を浴びたのが、アイドルグループ・ジャニーズWESTのメンバー、重岡大毅だ。

小松演じる望月夏芽に尽くす男子高校生・大友勝利を演じ、爽やかでまっすぐでありながら、どこか飄々とした雰囲気で強く印象を残した重岡に、今回の役作り、そして仕事の面白さを聞いた。

■重岡大毅
1992年8月26日生まれ、大阪府出身。08年よりTV、CM、ドラマなどで活躍。2014年にジャニーズWESTのメンバーとしてCDデビューを飾る。これまでの主な出演作品に、テレビドラマ『ごめんね青春!』(14/TBS)、『忍ジャニ参上! 未来への戦い』(14)など。2016年は『殿、利息でござる!』などが公開。

○メンバーも注目のカラオケシーン

――メディア向け試写を見た人たちの間で、重岡さんの演じた大友が本当に良いと、話題になっていますが、完成した作品を観て、ご自身で手応えはいかがでしたか?

そうなんや!? 嬉しい〜ありがとうございます。手応えはあまりなかったですけどね。自分で試写を観たときも、良い悪いはあまり観ていなくて「このシーンってこうなったんや」と、答え合わせ的な感じで観てたかもしれないなあ。あと、カラオケのシーンのインパクトが強すぎて。観た人は、自分がやってるって考えて!?

メンバーの藤井流星と試写に行ったんですが、流星も横で「うわ〜〜!」ってしてるから、俺もめちゃめちゃ恥ずかしかったんですよ。

※重岡さん演じる大友が、小松さん演じる夏芽を前に、「俺ら東京さ行くだ」を熱唱するシーンが登場します。

――ちなみに、試写にはどうして藤井さんと行くことになったんですか?

もともと、試写の話を聞いた時に流星がいて「俺も行きたいねんな〜」ってボソッと。当日行ってみたらいたので「ほんまに来たんや」と思いましたし、嬉しかったですね。終わってから2人で併設されてたカフェに入って、20分くらいしゃべって。流星が「よかったよ」って感想を言ってくれたんですけど、「カラオケが、カラオケが」とはめっちゃ言ってましたね。「それはやめてくれよ」と言いました(笑)。

――もし自分が大友だとして、カラオケで歌うとしたら何を選曲しますか?

あの状況で!? むっちゃ難しいですね! ……「世界に一つだけの花」!

○ちょっとでも力が入ると、カットがかかる

――今までも『ごめんね青春!』『殿、利息でござる!』などの作品に出られていますが、今回の役柄、または撮影などで違ったところはありましたか?

今までの中で一番、素に近いところではあったかもしれません。でも、そこを求める山戸監督の演出は一番難しかったかもしれないです。監督の細かい指示が多かったですね。「このセリフの時に、夏芽の左腕を見てください」「この時にアイスをかじって、下ろしてください」といった動きの指示もあれば、セリフが現場で何回も変わることもあり、難しかったです。

――監督のこだわりがかなりあったんですね。

ワンシーンの中で指示が5つも6つもあったので、俺も「わー!」ってなってもうて、1回監督に「大友、呼吸〜!!」って言われましたからね。呼吸を忘れるくらい、あれもこれも考えなきゃいけないところがありました。

――普段も、バラエティ番組やコンサートなどで、一度にやらなきゃいけないことがたくさんありそうですが、それでも止まってしまうくらいにやることがあったんですか?

もう、全然今回の方が多かったですね。

――大友は、感情をよりストレートに出してるなという印象でしたが、どういった青年だと思って演じられていましたか?

「大友すげーな」と思いました。夏芽のためだけに身を粉にして、まっしぐらじゃないですか。それでもがんばってる感がないなんて。もっとカッコつけたくなると思うんですよね。大友には「お前気づいてへんか知らんけど、すごいねんぞ!」と言いたい。

だから「気持ち良くなってはいけないな」と思って演じてたんですけど、完成した作品を観たら、出てた!(笑) 夏芽を前にしてイキってるところがちょっと出てましたね。

――監督から、素でいて欲しいみたいな要請もあったんでしょうか。

それが本当に軸だったので、ちょっとでも力が入っちゃうと、すぐさまカットがかかりました。すごいシビアで、何かにとらわれたらいけない撮影、みたいな感じやったんです。

――山戸監督の現場だからこそ、違う部分もありましたか?

たくさん作品に出てるわけじゃないから、「こんな現場もあるんやな」くらいの気持ちでいたんです。一度撮影の合間に、菅田くんとごはんに行ったときに、初めて「変わった現場なんかな?」と切り出してみたら、「お前気づいてなかったんか!? これすごいぞ!!」と言われて。あんなにいっぱい作品に出てる菅田くんでも、特殊な現場って感じてんねやって思いましたし、突き抜けてる現場を知れてラッキーだと思いました。

●先輩・錦戸亮くんからのアドバイスで変わった
○初めてのキスシーンとコミュニケーション

――1番ドキドキしたシーンはどのシーンでしたか?

キスシーンです。初めてやったし、「これドライ(リハーサル)の時にやるんかな? どうやろ? ドライの時はせえへんのかな?」みたいなわからへんこともたくさんあったし。

本番になったら案外力も抜けて、やれましたけど、あそこはめちゃくちゃ長丁場で、一番緊張というか、思い出に残ってるなと思います。初めてなので!

――ここまで話を伺っていて、重岡さんのコミュニケーション能力がすごいなと思いまして、現場のコミュニケーションなどで気をつけていることはありますか?

いやいやいや! そんなことないです(笑)。コミュニケーション、難しいですもんね。やっては失敗してやっては失敗して、「次はこうしよう」と試しながら生きてきてるから、その時によって変わるのかもしれません。でもね、今回の現場はめっちゃウケたんですよ。

というのも、ピリピリした重いシーンも多かったから。現場に入ったら、スタッフさんも夏芽もうなだれていて。俺はバッティングセンターとか、チャリンコに乗って坂を駆け上がるとか、明るいシーンが多くて、俺の撮影があるときは現場が和むからか、言うことがけっこうウケて、楽しかったです(笑)。

――現場にはまったというのもあったんですね。

あとは今回、ずっと和歌山にいて撮ったんですけど、オフの日は部屋で1人ぼーっとしてることが多くて。ほんまに人がいなかったんですよ! コンビニに行くのも、洞窟みたいに水がピチャピチャ落ちて、岩肌もボコボコなトンネルを2つ通らないといけないようなところだったので、撮影現場に行ったらめっちゃしゃべってましたね。人に飢えてました(笑)。

○ステージの世界に没頭した

――『溺れるナイフ』というタイトルですが、重岡さんは何かに溺れたことはありますか?

すごい汗っかきなんですよ。だからステージでビッチャビチャになって、ピンマイクを汗で潰してて……これ溺れさした話やな! 何かに没頭した、みたいなことですよね?(笑) 勝手に脱線して、勝手に本線戻ってすみません(笑)。

没頭といったら、そりゃ今の仕事ちゃいますかね。初めてステージ立った時のことは、今でも覚えてますから。関ジャニ∞の安田(章大)くんのバックやったんですけど、「なに、このワクワク感!?」「なんでこんなにいっぱいの人が見てるの!?」「何してんの、俺!」みたいな。前日まで普通の子だったのにパッと急にステージに上げられて、ジャニーズならではだと思いますね。一気に生活の中心になりましたし、絶対にデビューしてやる、と思いました。

――それほど、すごい体験だったんですね。ジャニーズ事務所に入ったきっかけは何だったんですか?

友達が「入りたい」と言ったので、一緒に履歴書を送りました。内心ちょっと、「俺いけんちゃう?」という気持ちはあったんですけど、中学生2年生で、周りの目とか一番気にする年齢じゃないですか。自分で「ジャニーズやりたいねん」と言ったら「お前、自分のことイケメンと思ってんちゃう?」とか思われそうで言えなくて、だからいいきっかけでした。

知り合いの女子が「送り方知ってるから」と言ってくれて、履歴書も書いて「後はこれをポストに入れるだけだよ」と、一式渡されたんですよ。同封の写真も友達と一緒に撮ったんですけど、あんまり自分では気に入ってなくて、でも「もっとええ写真送りたいな」とか言えないじゃないですか。「こんなんでええで」って顔をして、家に帰って綺麗に封を開けて、駅で証明写真を撮って入れ直しました(笑)。

――そこから芸能活動が始まったんですか?

夏に送って、半年くらい音沙汰がなかったんですが、冬になって「一次審査に合格しました」というFAXが来ました。でもその時はそれで満足やったんですよね。これをファイリングして学校に持って行こうとしか思ってなかったけど、お母さんに行け行けと言われて、行ったら、受かっちゃった。

――それでステージに上がって、ワクワクを感じられたんですね。

それまでダンスもやったことなかったし、歌うこともなかったし。鬼ごっこばっかりしてましたから(笑)。ステージに上がるとか、あんまりないじゃないですか。歳の離れた人と接することもなかったのに、ジャニーズに入ったら一番上はジャニーさんですから(笑)。下は小学生なのに、歌もダンスもできて、おしゃべりも上手で「なにこの世界!」みたいな感じのところに飛び込んで、揉まれてるのが楽しかった。

あと、それまで大人の人に怒られることがなかったけれど……めちゃめちゃ怒られましたよ、不器用なんで。怒られるのはめっちゃ嫌やったんですよ。ダンスとか全然できんかったから、1人で公園の街灯の下で練習してましたね。でも、そういう自分がかっこいいなみたいなところもありました(笑)。

――そうやって、自分を少し客観視するみたいなところもあったのでしょうか。

今でこそなくなったけど、昔のがもっとカッコつけて、周りからの見え方を人一倍気にしてたから。お芝居してからかもしれません、変わったのは。

ドラマの撮影の時に、関ジャニ∞の錦戸(亮)くんから「かっこつけんな」って言われたんです。カッコつけてたつもりはなかったんですけど、「いいシーンにしないと」「聞かせる台詞にしないと」って思いすぎて力が入ってた。その言葉でガラガラガラガラって崩れて、変われたような気がします。

■溺れるナイフ(11月5日公開)
15歳の夏。東京から遠く離れた浮雲町に越してきた、人気モデルの望月夏芽(小松菜奈)。退屈でウンザリするようなこの町で、夏芽は体を貫くような“閃光”と出会ってしまう。それは、コウと呼ばれる少年・長谷川航一朗(菅田将暉)だった。傲慢なほどに激しく自由なコウに、反発しながらも、どうしようもなく惹かれてゆく夏芽。コウもまた、夏芽の美しさに対等な力を感じ、やがてふたりは付き合いはじめる。「一緒にいれば無敵!」という予感に満たされるふたり。しかし浮雲の夏祭りの夜、全てを変える事件が起きるのだった。

(C)ジョージ朝倉/講談社 (C)2016「溺れるナイフ」製作委員会

(佐々木なつみ)