外出時に「アイロン消したかな」と不安になるという坂下千里子(2013年撮影、本文内容とは関係ありません)

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【ソレダメ!】(テレビ東京)2016年10月26日放送
「超簡単! 認知症の予防法SP」

認知症は高齢者だけが発症するのではない。若いから大丈夫と油断するのは禁物だと、専門医は指摘する。

自分の身だしなみを振り返ってみよう。例えば外出時に女性が化粧せず出かける、毎日服装に変化がない、ヘアスタイルもずっと同じ――こうした人には、認知症が忍び寄っているかもしれない。

認知症は発症する約20年前から脳に変化

ちょっとした外出はすっぴんで行く。この行動は「バツ」だ。メモリークリニック御茶の水の朝田隆院長は、「身だしなみを気にしない人は、脳の働きが低下する可能性があります」と指摘する。化粧時に考えながら手を動かすことが、認知症予防に大切というのだ。

服装や髪形も、日々の変化をつけたい。番組レギュラーでお笑いコンビ「オードリー」の春日俊彰が、トレードマークの「ピシッ」と分けた髪型をいじられ、こうぼやいた。

春日「分け目、変えようかな」

部屋が散らかっていても気にならなくなった、というのも警戒サイン。脳の働きが鈍くなっている恐れがある。

スタジオでは、ゲストの女優たちが物忘れ体験を明かした。

丘みつ子「お部屋の違うところに行って、『私、なんでここに来たのかしら』というのはあります」
坂下千里子「アイロンとか朝かけて、昼出かけるときに『あれ消したかな』」

坂下は最近、自宅でフライドポテトを揚げたまま火を消し忘れて外出してしまったという。幸い、安全装置が作動して自動消火されたというが......。

榎本内科クリニックの榎本睦郎院長は、40代でも若年性の認知症の人がいると説明する。また脳の変化は、認知症を発症する約20年前から起きているというのだ。仮に60代で発症した人がいたとすると、40代で既に何か脳に兆候が見られることになる。

榎本氏は、番組出演者にひとつのテストをした。背中に指でカタカナの「ス、マ、ヌ」の3文字のうちいずれかを書き、それを当ててもらう。認知症の人は、皮膚感覚が鈍くなっている。形が似ている文字を正確に理解できるかがポイントだ。最初に間違えたのは、春日。「ヌ」を「ス」と答えてしまった。ほかに、お笑い芸人の小籔千豊、MCの高橋真麻アナと、春日の相方の若林正恭も不正解だった。

脳に刺激を与え続ける3つのトレーニング

ただ、がっかりする必要はない。榎本氏は、認知症予防のトレーニングを3種類紹介した。

その1は「チャチャチャトレーニング」。童謡「おもちゃのチャチャチャ」を歌うのだが、歌詞の「チャ」の部分は発声しないで、代わりに手を叩く。歌の冒頭部分なら、「おもちゃの」と声を出して歌った後、手拍子を「パン、パン、パン」と3つ続けて打つ。これは脳のネットワークを刺激するねらいがある。

その2は「トントンすりすりトレーニング」。椅子に腰かけて、右手を握って右足の太ももを軽く叩きながら、同時に左の手のひらを開いて左足の太ももをさする。左右違う動きを続けるのは簡単ではない。しばらくして榎本氏が「チェンジ」と声をかけると、逆に右手で「すりすり」、左手で「トントン」と動きを入れ替える。

その3は「マルチじゃんけん」。榎本氏とじゃんけんするのだが、榎本氏がグー、チョキ、パーのいずれかを出したらそれを見た瞬間に、自分の右手でそれに勝つように出し、同時に左手は自分の右手に勝つようにする。例えば榎本氏がグーなら、右手はパー、左手はチョキ、といった具合だ。こうした複雑な判断を瞬時に下すことは、脳の前頭葉で考え手足に命令を送るため、前頭葉を鍛えるトレーニングになる。

3つのトレーニングはいずれも最初からすぐにはできない。それでも訓練を繰り返し、脳に刺激を与え続けるのが認知症予防の上で重要だ。