米大統領選はマーケティングの好材料、5社の成功例とは?

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米大統領選が間近に迫る中、国内では緊張が高まっている。共和・民主両党の候補が互いを攻撃するために言いたい放題で侮辱し合い、大人げない戦術を用いていることを受け、今回の選挙戦は史上最も不愉快なものだと考える国民が多い。

一方、大統領選がかつてないほどのメディアの注目を集める中で、選挙戦に関連付けた広告・販売キャンペーンを展開する企業は多数に上っている。いずれも非常に創造的で面白く、かつ効果的なものばかりだ。そのうち筆者が特に気に入っている5社のマーケティングを紹介する。

1. セブンイレブン

セブンイレブン(7-Eleven)は大統領選の実施前には毎回、「7-Election(セブン・エレクション)」を実施している。セブンイレブンでコーヒーを購入する人に「青(民主党)」と「赤(共和党)」のカップどちらかを選んでもらい、同社のウェブサイトに掲載した地図を州ごとに、販売数に応じて優勢な党の色に塗っていくものだ。

前回までと異なるのは、今年は「紫」の「Speak Up Cup(スピークアップ・カップ)」を用意したことだ(Speak Upは「自分の気持ちを率直に言う」という意味)。このカップには、第三党の候補者の名前や関心のある問題などを自由に書き込むことができる欄が設けられている。特に興味深いのは、地図を見るとほぼ全ての州が、紫色になっていることだ。

2. バドライト

ビールメーカーが大統領選に向けられるメディアの注目をチャンスとして捉え、飛びついたことは驚くようなことではない。そして、バドライトは多額の予算を惜しみなく注ぎ込み、特定の党に対する支持を表明することなく、マーケティングを成功させている。

国民の大半がどれほど大統領選を深刻に受け止めているかを考えれば、(新党の結成を宣言する)バドライトのTVコマーシャルは、私たちに清新な空気をもたらしてくれているかのようだ──特に、政治評論家たちの話の合間や、深夜番組の途中に見るものとしては。

3. ジープ

国が分断して互いに争い合っているように感じられる今、心地良いノスタルジックな映像ほど、私たちの心の琴線に触れるものはない。見ていて気分が良くなるジープのTVコマーシャルは、米国人が自国を誇りに思うべきさまざまな理由に焦点を当てている。

画面を左右に分割したこのCMには、効果がある。私たちの大半がまさに日常的に目にしている「分断(違い)」を視覚的に見せた上で、前向きに捉えているからだ。どちら側も悪く描かれることなく、単なる「違い」として対比されている。ジープのメッセージは、米国民は一つになり、米国を国民にとって素晴らしいものにしている事柄を大事にしようというものだ。そして、その答えの一つが「(一緒に)ジープの車を持つことなら、さらに結構」ということなのだろう。

4. カヤック

(スーパーチューズデー直後の)今年3月、米国内では「自国から逃げ出す方法」が検索された回数が、350%増加したと伝えられた。特にドナルド・トランプが大統領に選ばれた場合には移住したいと考えた人が多かったとされている。

これを受け、旅行予約サイト比較サービスのカヤック(KAYAK)はまず、トランプが勝利した場合には当選者10人に250ドル(約2万5,800円)分のアメリカン・エクスプレスのギフト券をプレゼントするキャンペーンを実施。その後、賞金5,000ドルの宝くじを発売した。

宝くじは、ブランドが自社のプロモーションへの消費者の反応を高めるための手法。消費者との接点を生み出すと同時に、消費を促すきっかけとなるものだ。カヤックの宝くじは、こうしたマーケティングの好例だといえる。

5. アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ

10代の若者たちに人気のファッションブランド、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(AEO)は、他社とは異なるアプローチを取っている。広告に予算を注ぎ込む代わりに、若い有権者に投票を呼び掛ける活動を行う非営利団体「ロック・ザ・ボート(Rock the Vote)」と提携。堂々と目立つスローガンを書き込んだ新たなラインを発売した。売り上げは全額、同団体に寄付される。

AEOもその他各社と同様、支持政党は表明していない。