旧日本長期信用銀行(現・新生銀行)の粉飾決算事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)と商法違反(違法配当)の罪に問われていた元頭取、大野木克信被告(69)ら旧経営陣3人の控訴審判決公判が21日、東京高裁(仙波厚裁判長)で開かれ、仙波裁判長は大野木被告らを有罪とした一審判決を支持、被告側の控訴を棄却した。

 仙波裁判長は、判決理由で「旧大蔵省が出した資産査定通達に従うのが公平な会計基準であり、それから大きく逸脱していた旧基準による旧長銀の決算は許されるものではない」と述べた。また、「通達は1年前にあり、周知徹底期間は確保されていた」とした。

 判決によると、大野木被告らは旧長銀の1998年3月期の決算で、3130億円の不良債権を償却などの処理をせず、損失を少なく計上した有価証券報告書を提出し、余剰金がないのに総額71億円を株主に違法配当した。

 一審判決では、大野木被告が懲役3年、執行猶予4年、元副頭取の鈴木克治(68)、同、須田正己(65)の両被告は懲役2年、執行猶予3年を言い渡されていた。

 3被告ら旧経営陣による違法配当をめぐる民事訴訟では、東京地裁が今年5月に、整理回収機構(RCC)側の賠償請求を棄却する判決を言い渡しており、刑事と民事の判断が分かれている。【了】