安倍晋三首相にとって、中国はうがった見方をすれば有力な“後援者。中国側にも何かと好都合な存在で、「持ちつ持たれつ」の不思議な関係がある。資料写真。

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2016年11月4日、自民党の総裁任期が「連続3期9年」に延長される。これにより、安倍晋三首相は20年の東京五輪を首相として迎える可能性もある。その安倍首相の有力な“後援者”は、うがった見方をすれば中国。中国共産党の習近平指導部と「持ちつ持たれつ」の奇妙な関係も存在する。

日本の言論NPOと中国国際出版集団が今年8月から9月にかけて日中両国で実施した世論調査によると、現在の日中関係を「悪い」と見る日本人は昨年と変わらず71.9%と、依然7割を越え、14年から始まった改善傾向が止まった。この1年間の変化についても、日本人の44.8%が「悪くなった」と判断。今後の日中関係の見通しについては、「悪くなっていく」という見方が日本人で前年比10ポイント増の34.3%となった。

相手国への印象が良くない理由(複数回答)について、日本側は「尖閣諸島周辺の領海・領空をたびたび侵犯しているから」が64.6%で最多。「中国が国際社会でとっている行動が強引で違和感を覚えるから」が51.3%で続いた。

東シナ海や南シナ海での中国の傍若無人に見える振る舞いに反発が集中。中国に譲らない安倍首相の姿勢が政権に“追い風”が吹く要因の一つになっている様子がうかがえる。

一方の中国。13年12月に靖国神社を参拝するなどタカ派色の強い安倍首相は、歴史問題で日本をやり玉に挙げ中国共産党の求心力を高めるカードとして欠かせない。ツッコミどころ満載だからだ。

例えば、8月の内閣改造の防衛相人事。前任の中谷元氏は防衛大学卒の自衛官出身だが、中国通とされた自民党の故加藤紘一氏に近かった。抜てきされた稲田朋美氏は自民党内でも有数の保守派。弁護士時代には戦時中、中国で「百人斬り競争」を行ったとして処刑された旧日本軍少尉2人の遺族が朝日新聞などを相手取り、名誉棄損の損害賠償と出版差し止めを求めた訴訟に原告代理人の一人として参加した。

稲田防衛相は就任直後の日本メディアとのインタビューで「百人斬り」を否定。これに対し、中国国防部は「歴史を否定すれば中日関係の未来はない」と強く反発する談話を発表し、さらに「侵略の歴史を美化したいだけだ。国際秩序に挑戦し、軍国主義をよみがえらせようとしている」と批判した。

安倍首相の対外政策は、韓国で評価が高い。軸がブレず、リオデジャネイロ五輪の閉会式で「マリオ」になったように「日本の利益のためなら何でもする」とみられている。

韓国の朴槿恵大統領は昨年9月の抗日戦争勝利70周年記念パレードで習国家主席と天安門上で肩を並べたかと思えば、今年7月には中国の反対を押し切って在韓米軍への高高度迎撃ミサイル(THAAD)配備を認めるなど、対外政策の振幅が大きい。中央日報がさきごろ、韓国の専門家31人に「主要国の指導者の中で最も実利的な外交がうまい人物」を尋ねたところ、65.5%を占める19人が安倍首相を選んだ。(編集/日向)