4年前に韓国が署名直前にキャンセルした日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結に向けた協議が再び始まった。写真は11月5日、厳重な警備の光化門広場。

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2016年11月5日、日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結に向けた協議が1日から始まった。日韓GSOMIAは4年前、韓国側が国内の「反日感情」に配慮して土壇場で署名をキャンセルしたいわく付き。韓国では朴槿恵大統領の知人女性の国政介入疑惑をめぐる混乱が広がっており、協議の先行きは不透明だ。

GSOMIAは、同盟など親しい関係にある2国間あるいは複数国間で秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏えいを防ぐために結ぶ協定。軍事技術だけではなく戦術データ、暗号情報、高度のシステム統合技術など有事の際の共同作戦に必要な情報が網羅的に対象となる。秘密情報活動で得られた情報も含まれるのが一般的とされている。

日本は米国やNATO(北大西洋条約機構)英国、フランス、オーストラリアなどと締結。聯合ニュースによると、韓国は米仏両国のほか、ロシアなどを含む計32カ国・地域と協定を結んでいる。1日の協議には日韓両国の外務・防衛当局の課長級がそれぞれ出席し、12年に署名を準備していた協定案をベースに、その後の情勢の変化などを踏まえ集中的に議論した。

日韓GSOMIAは民主党(当時)政権下の11年1月、李明博政権との間で協議を進めることで合意。両国間で初の軍事協定となるため、韓国内で反発が予想されていたが、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮の脅威が高まったことを背景に協議が進み、12年4月の実務者会議で仮署名にこぎつけた。日韓両国の防衛当局者間では5月中の締結に向けて最終調整が行われていた。

しかし、韓国メディアが「5月中の締結」を報じると、事態が急変。韓国国防相がGSOMIA締結のための日本訪問を中止するなど、雲行きが怪しくなった。交渉が最終段階になり、6月26日、韓国政府がGSOMIA締結を閣議決定すると、野党やメディアから「密室処理」「自衛隊の朝鮮半島進出に手を貸す」などの批判が一斉に噴出した。

6月29日には日本側も閣議で締結を了承。その日の午後、外務省で玄葉光一郎外相(当時)と駐日韓国大使による署名式が予定されていたが、韓国大使館から「国会との関係で延期したい」との電話があり、中止された。中央日報によると、電話は署名式の「50分前」。文字通り“ドタキャン”だった。

協議再開に当たり、韓国外務省は「北の核とミサイル脅威に対し、より効果的に対応するため」と説明。岸田文雄外相も「北朝鮮の核・ミサイル問題などを考える時に、日韓間の安全保障上の協力が大変重要だ」と早期締結に意欲を示しているが、韓国内では野党を中心に「4年前と何も変わっていないのになぜ再び推進するのか」「軍国主義の亡霊になぜ翼を与えるのか」などの反対論が根強い。

明るみに出た国政介入疑惑で朴大統領の求心力は低下する一方で、韓国政界の混乱も続く。日韓GSOMIA締結について、日本国内では「国内の反対意見を押し切る体力が政権にあるかどうか疑問」などの悲観的な見方も強まっている。(編集/日向)