神山健治監督

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 神山健治監督が11月5日、東京・新宿区の早稲田大学で行われたトークイベント「キャラプロ!」に出席した。代表作となったテレビアニメ「攻殻機動隊」シリーズや最新作「ひるね姫 知らないワタシの物語」のキャラクター造形について語った。

 押井守監督が手がけた劇場アニメ「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」が高い注目を集めた後、テレビアニメ化が決定。その大役を任された神山監督は、公安9課のリーダー・草薙素子のキャラクター造形に苦心したという。「漫画の草薙素子は明るいし破天荒。逆に押井監督が作った草薙素子は、原作のように笑わないし個人主義で、漫画とは全然違うキャラクター。でも押井監督の映画で認知した方も多い。テレビシリーズではどちらを取るべきか悩んだ」と明かした。

 「映画版と原作漫画の中間をとりつつ、テレビシリーズに毎回付き合っていくキャラクターにするにはどうしたらいいのか」と悩んでいた神山監督は、アフレコで素子の人物像を押井版から大きく変える、ある試みを行った。「アフレコの第1話を録った時に(素子役の)声優の田中敦子さんに、『(押井版よりも)15歳若く演じてください』と言いました。公安の仕事に飽きて、スリルや個人的な欲求がないとなかなか動かない感じだったのを、仕事に飽きてないキャラクターにしましょうと。そうしないと26話対峙していくことができないのではないかと思った」と告白。司会から「仕事に飽きているって面白いですね」と指摘されると、「多分押井さんが映画作りに飽きていたんですね(笑)。本人に自覚があったかわからないですが、出るものなんですよ。どういう作品でも監督のメンタルって避けられない。キャラクターや設定に出ちゃうんです」と振り返った。

 最新作「ひるね姫」は、2020年の東京オリンピックが2日後に迫った日本が舞台。父親と2人で岡山で暮らす女子高生・ココネは、ところかまわず昼寝をしてしまい、いつも同じ夢を見ていた。見る度にリアルになっていくその夢は、やがてココネの知らない家族の秘密につながっていく。

 キャラ造形に苦心した過去作に反し、「ひるね姫」の制作は全く異なる方向性からスタートしたという。神山監督は「物語の推進力になっていく設定から作品を作っていって、そのなかに登場するキャラクターはどういう風にすればいいかって。後からキャラクターが生まれていったパターンですね」と説明。さらに「ココネちゃんっていう名前は、脚本の第1稿の時は違う名前でした」「設定を吟味していく流れのなかで、『その名前だと特殊すぎない?』って。僕は気に入ってたんですけど、ちょっとキラキラネームだったんですよ」という秘話も飛び出した。

 「ひるね姫 知らないワタシの物語」は、2017年3月18日から全国公開。