写真提供:マイナビニュース

写真拡大

六本木・東京ミッドタウンの庭先ともいえるコートヤードに、巨大な土の塊のようなものが。これは、国際リニアコライダー誘致計画(ILC)を表現した作品だ。

東京ミッドタウンで開催中の「Tokyo Midtowm DESIGN TOUCH」内のイベント「Salone in Roppongi(サローネ・イン・ロッポンギ)」で展示されている。展示時間は11:00〜21:00((一部18:00まで、雨天中止)。

○国際リニアコライダー誘致計画を巨大な作品で表現

31kmの実験施設を1/2000のスケールで表現したジオラマ模型は、全長約15m。国際リニアコライダーの有力な誘致候補地である北上山地を模している。作品を手がけたのは、ミラノサローネでは空間構成、作品展示など様々な形で参加し、国内ではブルーボトルコーヒーの設計を手がけた、建築家・長坂常氏(スキーマ建築計画)。

長坂氏は、作品の狙いとして、「まず第一に『なんだ?』と思わせて人を近づける。その上であとは一人一人説明していくのが良いと思い、なんだ?!となるものを作ろうと考えました。その時、土の塊は有効ですよね。あとはひとつでも理解を深めるのに、なんとなくスケール感をつかんでもらうことがまずは一歩と考え、全体がわかる模型を作ろうとしました」とコメントした。

巨大ジオラマの一部に空洞があり、そこにはリニアコライダーの模型を露出させ、地中に引かれる様子を示している。中央の衝突点にはのぞき窓があり、そこをのぞき込むと、ライゾマティクスが制作した、素粒子のぶつかり合う様子を表現したイメージ映像を見ることができる。

○日本古来の建築技法「版築」で制作

制作には「版築」という日本古来の建築技法が用いられており、現場では土とセメントを混ぜたものをトンボでひたすら突き固めるという人力作業で作られた。ジオラマは航空写真から割り出した等高線をモチーフに山並みを作り出し、誘致が行われた時のイメージで、研究所などの建物を配置した。

作品制作は200人以上の学生ボランティアが手がけたという。長坂氏らの指示を受け、現場で中心的に作品制作にあたった武蔵野美術大学 建築学科の大関龍一さんは、「試作段階では土台にすっぽりとジオラマをかぶせるような設計だったのですが、ジオラマの底面と土の境目が丸見えになってしまいました。そこで、本番作業ではジオラマの底面が断面から見えないよう、土台より細い面積のジオラマを中央に置いて、両端は版築だけで構成する方法に変更になりました。そうしたことで、横から見たときの美しさが実現されました」と、試行錯誤した制作の様子を語った。

○週末には専門家を招いたイベントも

また、例年の「Salone in Roppongi」はイタリアの家具見本市「ミラノ・サローネ」で日本人クリエイターが発表した内容を凱旋展示していたが、今年は完全新作として、この催事のために作品が作られた。その経緯として、サローネ・イン・ロッポンギ広報担当者は、「サローネ・イン・ロッポンギは国内はもとより、言葉の壁を超え、国外でも高い評価を集め、積極的に活躍する日本人デザイナー、建築家、日本企業に焦点を当てた企画を行っているため、今年はこのような新たな試みに挑戦することにしました」と語った。

国際リニアコライダーの誘致を作品にするという試みの狙いとしては、誘致計画に対して、日本政府が民主主義に基づき広く一般に周知するのが好ましいという意向を示したためで、今後も周知活動を行っていくということだ。

最後に、同広報担当者は「国際リニアコライダーは次世代型の加速器研究施設として『世界にひとつ』のものです。誘致が決定すれば、これからの21世紀、世界中の科学者がその場に集まって研究を続け、科学という名の「世界平和」が実現します。この計画をたくさんのひとに知ってもらうために、デザインと建築がコミュニケーションを作り出せたことをとても嬉しく思っています」とコメントを寄せた。

なお、会場では高エネルギー加速器機構の藤村順平氏を講師としたワークショップ「よくわかるILC講座」が開催される。開催日時は11月5日、6日の各日13:00〜/15:00。定員15名で、参加希望者は展示スペースにある受付で申し込むことができる。

(杉浦志保)