米大統領選を前に、米有力世論調査会社ディレクターが日本記者クラブでこのほど会見した。「米国は世界のリーダーとして重要ではなくなった」と答える米国人は半数に達しており、トランプ候補のスローガンである「偉大な国を取り戻す」に多くが共鳴しているという。

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2016年11月8日の米大統領選を前に、米有力世論調査会社ピュー・リサーチセンターのブルース・ストークス国際経済世論調査部ディレクターが日本記者クラブでこのほど会見した。同氏によると「米国は世界のリーダーとして重要ではなくなった」と答える米国人は半数に達している。この結果、トランプ候補のスローガンである「偉大な国を取り戻す」に多くが共鳴。自由貿易への警戒論も急増し、TPP(環太平洋連携協定)に対し、3分の2が反対しているという。ストークス氏の発言要旨は次の通り。

米国人を対象とした世論調査で、「米国は偉大な国ではなくなった」「世界のリーダーとして重要ではなくなっている」と答える人は、ほぼ半数に達し、この40年間で最も高い比率だ。トランプ候補支持者の8割は50年前に比べ米国は生きにくい国になったと感じ、7割は将来もっと悪くなると感じている。「アメリカを偉大にする」というトランプ候補のスローガンは多くの米国民には魅力的に映る。一方、クリントン候補支持者では、59%がよくなっていると答えている。将来を絶望しているのは、教育レベルが低く、高齢の白人層である。

大統領選挙で、今回ほど貿易問題が関心を呼んだことはこれまでになかった。米世論調査では大半が「他国を助けるべきでない」と回答。グローバル経済への米国の関与も、大半が支持していない。

米国労働者の大半が海外へのアウトソーシングによって仕事が奪われたと感じている。対外貿易も仕事を奪いよくないと思っている。この結果、自由貿易協定への支持率は急落している。中高年や白人の多くは「貿易拡大は悪いこと」と回答しており、この層はトランプへ投票する傾向が強い。FTA(自由貿易協定)に対しても懐疑的で、FTA支持層は女性とマイノリティにとどまる。このためTPP(環太平洋連携協定)への賛成は全体の3分の1にとどまっている。

共和党では保護主義的な傾向が強まり、白人の中高年層が支持している。一方で民主党は自由貿易主義、女性、マイノリティの党に変貌。イデオロギーではなく人口構成の問題が選挙に反映される傾向が強い。

トランプ現象の背景には、「政治家を信頼できないから変化を求める風潮」があるのかもしれない。大統領選の結果いかんにかかわらず、トランプ現象は当面続くであろう。(八牧浩行)

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