気づいた時には… 今から始める「下流老人」対策

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執筆:石村 衛(ファイナンシャルプランナー)


老後の生活を思い浮かべたとき、もちろん身体の健康が気になるでしょう。同時に「財布の健康」状態も気になると思います。

「下流老人」というコトバを聞いたことがありますでしょうか。老後の生活で貧困に苦しむ高齢者を表した言葉です。

たとえ健康であっても、お金がなければ不自由な生活を強いられ、いざ病気にかかってしまったときに適切な対応をとることができないことがあります。

老後のライフプランを検討するうえで、身体の健康を保ちつつ、懐事情も健康であったら心配がグッと軽減するでしょう。

今回は、リタイア前に準備しておきたい「8つのライフプラン」をご紹介したいと思います。

対策をしていないと未来は暗い


厚労省が平成26年に発表した国民生活基礎調査によると、生活意識について高齢者世帯の27.1%が「大変苦しい」と回答しており、「やや苦しい」との回答をあわせると過半を越える58.8%がサイフの健康状態が芳しくないと感じており、この傾向は年々増加しています。


また貧困率も、全世帯に占める相対的貧困率は16.1%と上昇傾向です。

高齢化社会に突き進む現状をみれば、何の対策もせずに現状に甘んじていると明るい未来が待っているとは思えません。

年収400万円のサラリーマンが相当!?「下流老人」


冒頭でもお話しした「下流老人」とは、社会福祉士であり、首都圏で生活困窮者支援を行うソーシャルワーカーの藤田孝典さんが提唱した言葉です。

「生活保護基準相当で暮らす高齢者や、その恐れがある高齢者」と定義されています。

普通に暮らすことができず、下流の生活をせざるを得ない老人を表し、今後、日本の平均だと言われている年収400万円のサラリーマンであっても下流老人になってしまう可能性があると警鐘を鳴らしています。

お金がないと長生きできない?


日本福祉大学が2012年に発表している「行政統計データを用いた4年間の追跡調査」によると、年収250万円以上の人に比べて、生活保護を受けている「下流老人」は、死亡率が3.5倍ほど高いことがわかっています。

さらに、もっとも低所得のグループはもっとも高所得のグループと比べて平均で5倍、「うつ」状態の人が多いこともわかっています。

「がん」を始めとした病気になるリスクも下流老人のほうが高いことから、お金がないことが精神的な不安につながり、身体に異常をきたしてしまうことが窺い知れます。

リタイア前にしたい8つのライフプランとは

このような状況を踏まえ、ご紹介したい“リタイア前に準備しておきたい「8つのライフプラン」が下記です。

1:手取り収入の5%〜20%程度を貯蓄(一部運用)する

2:ボーナスで生活費などの不足を補填しない

3:固定費(住宅ローン・保険料など)の見直す

4:住宅ローンがあれば、60〜65歳までに完済を目指す

5:必要なモノと欲しいモノを区別して支出する

6:公的年金受給見込み額の調査する(年金事務所で確認)

7:リタイア後の生活をイメージする(家族で話し合う)

8:老後に資金計画を試算してみる

上記のすべてが、完璧に出来る人物は皆無でしょう。

しかしながら「意識をしている」のと「意識をしない」のでは結果は異なります。まずは出来ることを実行し、出来ていないことは出来るように工夫することが、第一歩になります。

資産運用のキホンを知ることが大切


巷では、「老後に備えた資産運用」という方法論が話題になることがあります。

それ自体には、ひとつの選択肢であることに異論はありません。あるいは、年金保険という自分年金作りや「上乗せ年金として家賃収入」という謳い文句の不動産投資なども選択肢になるでしょう。

いずれも「どれが有利」と気になるところですが、メリットばかりに注目せずにデメリットも知ることが大切です。

その上で「自分にあった(出来そうな)選択肢を選ぶ」ことが大切であり、そのためには多少の基礎知識の習得は不可避です。

「資産」と「収入」が生涯支出を上回るように


老後のライフプランを充実させるためには、常に「資産+収入」が「生涯支出」を上回っている状態を維持することを目指しましょう。


リタイア前にある程度の資産(例えば、月額5万円を上乗せで使うと仮定したケースでは、5万円×12ヶ月×30年分=1,800万円)を作ります。

その上で元気なうちはなるべく働き、病気になる等予期せぬ支出に備えた貯蓄・保険を組み合わせ、コントロールされた支出状態を維持すれば、「下流老人」という最悪の事態は回避できます。

【参考】
・厚生労働省『平成26年国民生活基礎調査』(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa14/dl/03.pdf)、『平成25年国民生活基礎調査』(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/03.pdf)
・日本福祉大学『行政統計データを用いた4年間の追跡調査』(http://cws.umin.jp/press-releases/038.pdf)


<執筆者プロフィール>
石村 衛(いしむら・まもる)
FP事務所:ライフパートナーオフィス代表ファイナンシャルプランニング1級技能士(CFP)東洋大学卒業。メーカー勤務の後、FP事務所:ライフパートナーオフィスを横浜市戸塚区に開設。地域に根ざしたFP活動を志向し、住宅ローン、不動産・証券投資、保険、貯蓄・など一般家庭のお金にまつわる様々なアドバイスを行っている。 お金に係わる出前授業を小・中・高校で実施。また、高等学校の保護者会などで進学費用や奨学金・教育ローンの講演多数。東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザーとして活動中。