ヴィクトリアズ・シークレット、「プッシュアップブラ」からの転換に苦戦

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ランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(VS)」を傘下に持つ米Lブランズ(L Brands)は11月3日、10月の既存店売上高が前年比の2%減少したことを明らかにした。VSの主力製品を「プッシュアップブラ」から「ブラレット」に移行するための販促活動などに注力する中でも依然として、苦戦を強いられている。

Lブランズは同月1日に開催したインベスター・デーで、今年第3四半期(8〜10月)の利益見通しを公表。これまで0.40〜0.45ドル(約41〜46円)としてきた1株当たり利益の予想を、0.40ドルに引き下げた。

アナリストらは、同社はこれまで控え目な業績見通しを発表する傾向があったものの、今回はそうではなかったようだとみている。RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ブライアン・タニックは、同社の目標株価を82ドルから70ドルに引き下げると共に、2016年通期の1株当たり利益の予想を3.85ドルから3.80ドルに下方修正した。

Lブランズはランジェリー部門の不調を吸収できた可能性がある水着・アパレル部門からの撤退をすでに決めている。これらの部門の不調が、好調を維持する若年層向けブランド「ピンク(PINK)」やスポーツウェア部門の利益を相殺している格好だ。

一方、ブラレットやスポーツブラを買いたい消費者の需要を取り込むため、VSは「お試し価格」での販売なども行っているが、そのコストがLブランズの粗利益を削る結果になっている。

VS不調は嗜好の変化が原因

VSの業績が悪化した背景にあるのは、女性たちの購買習慣の変化だ。ワイヤーが入っていない「ブラレット」を好む女性が増加する中で、VSはブラジャーのパッドを工夫するなどの対応はしたものの、相変わらず「プッシュアップブラ」を中心に販売してきた。

そのため、ブラレットが欲しい消費者たちはネット販売や専門店に目を向け、スポーツブラを買いたい人たちはヨガウェアブランドのルルレモンや、ナイキ、アンダーアーマーなどのアスリート・ブランドで購入するようになっている。

VSのブラジャーは見た目に変化がなく、広告も以前と変わらない。だが、消費者の嗜好(しこう)は変化する。女性の社会的地位が向上するこの新しい時代に、過度に女性性を強調したマーケティングは、全く通用しなくなっているのだ。

また、女性たちはより現実的な女性の体形を反映した広告を好むようになっている。さらに、米国では大学内で多発する性的暴行が大きな問題になっており、男性が女性に抱く幻想に基づいたVSの広告は、これらの現実と合致しないものになっている。

好転への希望も

ただ、Lブランズには悪いニュースしかないわけではない。ボディケア商品を扱うバス&ボディワークス(Bath & Body Works)の売り上げは好調で、10月の既存店売上高は前年比6%増加した。また、11月のLブランズの売上高は、1桁台前半ながらも増加が見込めるという。

さらに、中国事業の基盤を確立することができれば、Lブランズのビジネスの規模は、米国に匹敵するまでに拡大できると見込まれている。米銀ウェルズ・ファーゴのアナリストは、国際的な事業拡大とその他の取り組みが、長期的には同社の業績を好転させるとの見方を示している。

Lブランズのレス・ウェクスナー会長兼CEOは投資家向けイベントで、VSは現在進めているような方針の転換を「より早い時期に開始すべきだったかもしれない」と認めている。11月16日には、直近の決算結果を発表する予定だ。