受動喫煙防止対策の強化案、厳しい規定に「非現実的」との声

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受動喫煙防止対策強化検討チームワーキンググループによる関係団体への公開ヒアリングが、10月31日に都内で行われた。

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向け、厚生労働省は受動喫煙(他人のたばこの煙を吸うこと)の対策を強化することを宣言している。近年のオリンピック開催国をはじめとする諸外国に比べ、受動喫煙防止対策が遅れていることなどが理由とされ、本対策により、肺がん、乳幼児突然死症候群(SIDS)、虚血性心疾患などのリスクを高めるとされている受動喫煙を減少させ、国民の健康の増進を図ることが狙いとされている。

具体的には、未成年者や患者らが主に利用する学校や医療機関は敷地内での喫煙を禁止する「敷地内禁煙」、官公庁、社会福祉施設、運動施設、大学等は建物内での喫煙を禁止する「建物内禁煙」、利用者が自由に選ぶことができる飲食店やホテルなどのサービス業施設などは「原則建物内禁煙」として建物内の喫煙室の設置を認める、とたたき台に提示された。

これに対し、ヒアリングに参加した団体からはさまざまな意見が寄せられた。「原則禁煙(喫煙室設置可)」を提示された日本内航海運組合総連合会など船舶に関わる団体からは、燃油などの危険物を運搬する船には関しては禁煙を徹底しているが、乗組員が長期の乗船を強いられる場合、「家庭と職場が極めて近い環境のため、一般的な職場と同列に考えることは難しい。また、喫煙室設置のためのスペースや時間の確保が必要」と訴えた。

「敷地内禁煙」とされた四病院団体協議会は、諸外国に比べ日本国内の平均入院日数が長いことなどを理由に、敷地内禁煙は「現実的ではない」とし、「敷地内禁煙とすることで敷地外にて喫煙する人が増え、近隣住民とのトラブルになることもある。医療機関によっては喫煙室設置可などの例外を認めて欲しい」とした。終末期の患者を抱える特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会も、「生命予後の短いがん患者が多数入院する病棟の現状から、ジ饗Х物内禁煙ァ糞扮貅疾瀉峅帖法廚覆匹魎望した。

一方、禁煙室の需要が高まっているという一般社団法人全日本シティホテル連盟は、同たたき案に概ね賛同した。また一般社団法人全国消費者団体連絡会も、受動喫煙を防止するための措置を講じるヅ慘狼遡栢イ慮従から、「法律化することで着実に行う」必要性があることを強く訴えた。

利用者に喫煙者の割合が高い全国麻雀業組合総連合会は、「午前中から夕方までは健康麻雀(禁煙)を設ける店舗も多く、また全面禁煙の店舗もあるため、喫煙を好まない禁煙者は禁煙の店舗を選ぶことができる」と現状を説明。東京オリンピックを大きなビジネスチャンスと捉える一般社団法人日本フードサービス協会も、「飲食だけではなく、外食はリラクゼーションのための場でもある。海外と日本の事情は異なり、一律禁煙にすることで業態によっては客離れや廃業の危険性もある。受動喫煙防止対策の必要性は理解できるが、喫煙者を無視するのはどうか」と、喫煙者も禁煙者も快適に過ごせる環境を提供するため、外食文化の魅力でもある多様性への理解を求めた。

【ヒアリング団体】(順不同)
一般社団法人全国消費者団体連絡会
一般社団法人全日本シティホテル連盟
一般社団法人日本フードサービス協会
全国麻雀業組合総連合会
特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会
日本私立大学団体連合会
日本内航海運組合総連合会
一般社団法人日本船主協会
一般社団法人日本外航客船協会
四病院団体協議会


(参考資料)受動喫煙防止対策に関する 各国調査の結果/厚生労働省