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鍼灸師・若林理砂さんが、あなたの近くにいそうなキャラたちの健康相談に答えるこの連載。シーズン1で登場した個性豊かな患者さんたちの「再診」で、現代を生きる人が陥りがちな、体と心の関係を探っていきます。

男性、40代、メーカー勤務(営業)
肥満体、健康診断時に注意を受けがち。車通勤をしており運動の習慣はない。うまいラーメン屋探しが趣味。前回の診断で「疲れやすさは肥満体型から来ている」と指摘され、ダイエットを始めたようですが……。

○本日の患者さんの悩み「なかなか痩せない」

おや、再診ですね。どういたしました?

「先生、俺あれから頑張って少しやせたんすよ!」

あら、本当ですね。少しだけお顔がシュッとした印象。ですけど、今日はどうしてもう一度来られたんですか?

「ここんところ、朝めし抜き、昼はゼロkcalのゼリーと炭酸飲料、夜だけ好きなラーメン食ってんすよ!だけど、なかなか痩せなくて……」

はぁ……、よくあるパターンですね。

高血圧でいらっしゃるから、血圧は毎朝測るようにお医者様から指導はあるのでは?やっぱり、そうですよね。最近、血圧が妙に高かったりしませんか?

「え、なんでわかるんすか? そう、それもあってちょっと来てみたんですよ。東洋医学的になんか問題があるんじゃないかと思って」

いえね、東洋医学的とかじゃなく、その食べ方はたいへんに問題があります。

○カロリーゼロと高血圧の危険な関係

その、ゼロkcalの食品って、これとかですか?

「そうっす!そのゼリーっす。これ、量も多くてたくさん食えるんですよね!」

ええと、290グラムですね。一回当たり何個食べてるんですか。2つ? で、これの成分表示を見てみましょう。100g当たり:熱量0kcal、たんぱく質0g、脂質0g、炭水化物6.9g、ナトリウム21mg。総量がだいたい300gだとして、ナトリウム量が63咫2個食べてるから、倍の126咾任垢諭

「なんだ、ミリグラムってことはそんなたいしたこと…」

まだ途中ですよ。それと、常飲してる炭酸飲料ってこれですね。ナトリウム量が100mlで5mg。一本500mlで日に3回飲むから1.5リットルで、合計75mg。ゼリーと炭酸飲料を足すと、ナトリウム量の合計はだいたい200mg、食塩に換算すると約0.5gですね。

これと、晩御飯のラーメンを足してみると……あ、ラーメン一杯は食塩で6g相当です。どうせスープまで残さず飲んでるんでしょう?

「あはは、そうっす。もったいないっすからね。」

そうすると、朝を抜いて、ゼロkcalゼリー2つがお昼、夜にラーメン一杯、飲料はゼロkcalコーラ1.5リットルと、合わせて6.5gの塩分量です。食べる量を減らしているのに、高血圧の方に推奨されている1日の塩分摂取量の6gを超えてしまっています。

「えっと、俺、おやつにもゼリー、あと2つ食ってるっす……」

じゃないかと思いましたよ。

○カロリーゼロは完全な「ゼロ」じゃない

要するに、カロリーゼロ食品に含まれる甘味料にはナトリウムが含まれていることが多いので、「これなら大丈夫」と思って大量に食べるのはあんまりお勧めしないですよ。

だいたい、カロリー的には問題ないにせよ、ナトリウム以外の栄養素がほとんど入ってないでしょう?そうすると、そのほかの栄養素をとれる食事が、晩御飯のラーメンしかないってことになります。

前回もお伝えしましたけど、食事はバランスよく食べるのが大切。そうやって短絡的に「カロリーだけ減らせばいいんだ!そうしたらすぐに結果が出る!!」って考え方自体が、肥満を引き起こす思考回路でもあるんです。

ダイエットって一時的なものではなく、痩せたらばそこから一生その体型を維持するための食習慣を体得するための訓練なんですよ。だから、今のあなたのような食べ方は、その訓練が全くできていないってことになります。だって、一生を今のような食事で過ごすつもりじゃないでしょう?

「……痩せたら元通りの食事に戻れるから、早く痩せようと思ってました」

ね?元の食事に戻したら、元通りの体型になるんです。

○空腹=エネルギー切れじゃない!

ところで、ゼロkcalゼリーを何個も食べたり、炭酸飲料を水代わりに飲んだりするのって、もしかして、空腹になるのが怖いからですか?

「はい、だって、腹が減ったら動けなくなるっスよね」

あなたのおなかや背中についているの、脂肪ですよね?それって、飢餓状態になった時に死なないで済むようについている、いわばお弁当です。

それがそんなにたくさんついていらっしゃるんだから、おなかが減ったってそうそう簡単に死なないし、動けなくなるってこともありません。おなかがすくのを怖がるあまり、空腹を防止するように先回りして食べて、どんどん太る方も多いんですよ。

「え、腹減って動けなくなるって、思い込みなんすか?」

1食抜いたくらいじゃ動けなくなるはずがありません。体が資本のダンサーなんかは、胃が重くなると踊れないといって、公演前はほとんど何も召し上がらない方すらいらっしゃるんですよ。1公演1時間以上、ソロでダンス踊るのに。

「……そうっすかぁ」

お腹が減るのを怖がらず、一日の必須カロリーに準じた食事を1カ月、続けてみましょう。その際、プレート法を頭の片隅に置いておくとわかりやすくなります。食事内容のバランスは、20センチ程度のお皿の半分を野菜と果物類、1/4にたんぱく質、1/4にデンプン質を載せるようなイメージで考えましょう。この図を頭の中において、まずは外食から始めてみてください。

養生してね、お大事に!

(若林理砂)