■専門誌では読めない雑学コラム
◆木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第78回

 プレーには絶好の季節となる"ゴルフ秋の陣"では、紅葉を見に行ったり、沖縄に飛んだりと、今年もフル活動しております。

 そんななか、週末の練習場に行くと、戦国時代のようなノボリを立てた派手なブースが目に飛び込んでくることがあります。あれは、クラブメーカーなどが主催しているニュークラブの試打会ですね。

 その周りは、黒山の人だかりで圧倒されます。みなさん、腕自慢なのでしょう。「我こそはドラコンキングなり」とうそぶく猛者たちが腕をまくって、日頃の成果をここで披露するわけです。

 とまあ、試打会と言えば、ばかすか飛ばしているかのように思われますが、よく見ると、そうでもないのです。飛ぶ人は最初から飛ぶわけで、実はあまり飛ばない、お金を持っていそうな方が、真のお客さまです。ですから、試打会をやっていたら、気後れせずに楽しみましょう。

 ともあれ、試打会で打つ前には、まずは自分の打席でウォーミングアップをしておきましょう。およそ1箱、30球ぐらい打ったら、試打を行なっているブースに行って、試打を申し込むのがいいでしょうね。空いていれば、すぐに打てますし、人気クラブだと多少は待つこともあります。

 あと、今から自分が打とうとしているクラブは、どんなタイプで、どの層にターゲットを絞っているのか、それぐらいは把握しておいたほうがいいです。カタログを見ながら、アスリート向けなのか、シニア向けなのかなど、チェックしておきましょう。値段が高い場合は、いい素材を使っているので、シニア層向けのことが多いですかね。

 さあ、試打の順番がきました。

 ここで、自分のプロフィールを提出。すなわち、自己紹介ですね。いきなり、「シャフトの固さはSで、ドライバーのロフトは9度を」なんてリクエストをしてもバレますから、ご注意を。

 こういうときは、謙虚に下手を装うというか、ありのままを言えばいいのです。

「平均スコアは100前後で、ドライバーの飛距離は220ヤードがいいところです。持ち球はフェードというか、スライスです」

 大変よくできました。正直に語ってくれて、これなら試打会のスタッフもひと安心です。「それでは、あなたに向いているクラブを試打していただきましょう!」となります。

 最近の試打システムは、主にこうなっています。

(1)「カチカチ」でヘッドを瞬時にすげかえする
(2)コンピューターでデータを測定する

(1)と(2)を同時にやっているところもあります。

 まず(1)の「カチカチ」を紹介しましょう。

 最近のドライバーは、ヘッド部分が着脱可能になっていて、「カチカチ」とネジを緩めて締めれば、ほんの数秒で別のヘッドにチェンジすることができます。だから、2〜3球打つや、スタッフやフィッターがあなたに合うであろう適正なヘッドを即座に装着し直してくれます。

 渡されたクラブヘッドが左を向いていて、「引っ掛けそう......。大丈夫なの?」と思うことがありますが、心配ご無用。これは、アマチュアゴルファーにありがちなスライスボールを矯正する"フックフェース"です。騙されたと思って普通に打ってください。あら不思議、ものの見事にいい球が出ますから。

 試打のコツは、どんな球筋が出るにせよ、スイングが安定していることが大事です。フォームが変わらないなら、スタッフはクラブで矯正できます。でも、1回打つごとにスライスが出て、次にフックが出たとなると、非常に合わせづらいのです。

(2)のコンピューター診断というやつですが、これは通常、結構お金がかかるシステムです。普通はクラブを買うのを前提として、ショップなどでは無料でしてくれます。それを、試打会で無料診断してくれていたら儲けもの。ぜひトライしましょう。

 やることは、シミュレーションマシンみたいな計測センサーがある打席で、普通にボールを打てばいいだけです。それで、ヘッドスピードやボールのスピン量、球筋、インパクトのデータなどがわかります。

 私は、というと、ドライバーの飛距離は210ヤードそこそこ。球筋は軽いフェードで、スイングは安定していてデータは取りやすいです。で、実際にラウンドすると、持ち球はドローに変化します。データはフェードですが、実はクラブが勝手にドローに変えてくれるんですね。

 俗に言う「ボールがつかまるクラブ」ってやつですか。今のアマチュア向けのクラブは、ほとんどこれです。逆に言えば、クラブで矯正していてもスライスって、よっぽどのスライスですよ。そういうのも、コンピューター診断でわかって面白いと思います。

 予算の少ないメーカーは、単に試打クラブを渡すだけ、というのもありますが、それでもいろいろと試せます。とにかく、最近のクラブはよく飛びます。試打会では、そんなテクノロジーの進歩を実感なさるのがよろしいでしょう。

 裏技としては、免許証などを提示することで、試打クラブを自分の打席に持っていって打てることがあります。これなら緊張しないで、思う存分に試打ができます。

 もともと試打会は無料で、その場で買わせることはほとんどないので、一度試してみてはいかがでしょう。新しい世界が開けるかもしれませんよ。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa