国民健康・栄養調査(2012年)によると、糖尿病が強く疑われる成人男女は950万人、糖尿病予備群は1100万人に上る。

 男性の4人に1人、女性の5人に1人が糖尿病かその予備群だ。

 最近、2型糖尿病の発症リスクとして「サルコペニア肥満」という概念が注目されている。

 サルコペニア肥満はBMI(体格指数)にかかわらず、筋肉量が標準より低下し、体脂肪率が高い状態。さしずめ「筋肉霜降り状態」といったところ。

 大阪医科大学の研究グループは、筋肉量と、2型糖尿病の発症要因であるインスリン分泌能とインスリン抵抗性との関連を検討した。

 インスリンは血糖の消費を促すホルモン。分泌量が低下したり、インスリン抵抗性──働きが鈍くなると、2型糖尿病の発症リスクがぐっと跳ね上がる。

 検討対象は同大学クリニックの健康診断の受診者。2型糖尿病の既往や治療歴がない40〜79歳の成人1098人(男性538人、女性560人)で、平均BMIは男性23.4、女性21.5だった。

 受診時に手足の筋肉量を測定し、血液検査からインスリンの分泌能、抵抗性を計算している。

 その結果、二つの発症要因と筋肉量とは、きれいな正の相関を示した。つまり、筋肉量が減少するほど、2型糖尿病発症リスクが上がるわけだ。

 また、対象を健康な人と糖尿病前症(空腹時血糖値100mg/dL以上、もしくはHbA1c5.7以上)の人に分けて解析した結果、男性は両群とも、女性は糖尿病前症群で、筋肉量の低下とインスリン分泌能の低下が関連した。

 若年者がサルコペニアになる要因は、(1)不活発な生活スタイル、(2)腎不全やがんなど重い病気によるもの、(3)食欲不振を起こす薬物による栄養失調、タンパク質不足などだ。もともと、日本人は遺伝的に欧米人よりインスリン分泌能が低い。病気はともかく、怠惰な生活で健康を損なうのはもったいない。

 サルコペニア肥満の予防は、タンパク質とビタミンDが豊富な食事で。そしてもちろん、筋トレだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)