2017年度予算編成に向かって、財務省は生活保護引き下げへの強い意向を示している。その防波堤となるべき厚労省の姿勢には疑問が残る

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生活保護引き下げを巡る
財務省・政権の圧力と逆らわない厚労省

 社保審・生活保護基準部会(以下、基準部会)は、社会保障の専門家・有識者たちが、生活保護で保障すべき「健康で文化的な最低限度の生活」と必要な費用に関する議論を行う委員会だ。その新シリーズが、2016年5月から開催されている(厚労省・基準部会ページ)。

 議論されている内容は、主に以下の3つである。

1.子どものいる世帯に対する加算(特に母子世帯に対する「母子加算」)はじめ、世帯の類型や事情に応じた「加算」の見直し

2.生活保護費用に反映されている地域間格差の見直し

3.生活保護制度の見直しによる就労促進 

 いずれにしても、財務省は「高すぎるので下げるべき」という意向ばかりを発表している。厚労省は医療・年金・保険・生活保護と支出の必要が多いゆえに立場が弱く、明快に「厚労省は国民の生命と健康と人権を守る立場ですから、断固応じられません!」とは言いにくい立場にある。基準部会は厚労省内で開催されており、貧困研究に長年関わってきた委員を含む委員たちの多くは、引き下げることに対する懸念と反対を口々に表明している。

 しかし、2013年1月に発表された生活費分(生活扶助)引き下げ以来、基準部会としての、あるは委員としての主張は行われていない事柄が引き下げの口実に使われ、あるいは委員たちや部会報告書は引き下げに対する慎重論を述べていたにもかかわらず、別の理由(正体不明の「消費者物価指数」など)による大幅な引き下げが行われている。基準部会は、引き下げに対するブレーキとしての機能を全く発揮できなくなっているのが現状だ。財務省の生活保護引き下げへの圧力が、あまりにも強すぎるからである。

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