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By Mysi(new stream: www.flickr.com/photos/mysianne)

性欲に問題を抱える女性が服用することで性欲を刺激できる「女性向けバイアグラ」とも呼ばれる治療薬の開発が進められています。すでにアメリカ食品医薬品局(FDA)が女性の性欲を高める「Addyi」「フンバンセリン」を承認済みで、女性向けバイアグラを開発する製薬会社に対する「新ガイドライン」の草案も出すなど、アメリカ政府は女性向けバイアグラに前向きな姿勢を見せているのですが、「効能よりも副作用の方が重い」などの問題から論争の的になっています。

Here's how the FDA wants drugs for women's sex drives to be developed - The Verge

http://www.theverge.com/2016/10/27/13443412/fda-womens-sex-drive-drugs-female-viagra-sexual-dysfunction

「女性向けバイアグラ」と呼ばれる性欲昂進薬の問題としては、「女性が毎日服用する必要があること」「服用中にアルコールを摂取できないこと」「めまい」「吐き気」などの制約や副作用が挙げられます。また、効果についても服用した女性の約13%が月に0.5回「性的に満たされた」と述べているのみで、服用の制約や副作用の重さが効果に見合っていないといわれています。

一方でFDAは製薬会社に対して女性向けバイアグラのガイドラインを制定する動きを見せていることから、今後も異なる女性向けバイアグラの承認が進むと考えられている一方で、ウィラメット大学・Sexuality and Relationships Labの所長であるカイル・スティーブンソン氏は、この流れに反対する1人。女性の性機能障害は物理的・心理的・社会的問題を含む複合的要因や、セックスに対する罪悪感のストレスによるホルモン失調によって引き起こされるため、「単に薬を飲むだけでは性機能障害に対処できない」とスティーブンソン氏は主張しています。

スティーブンソン氏は「性機能障害には投薬治療・セラピー・カップルカウンセリングなど異なる治療方法があり、それぞれ効果も異なります。カップルカウンセリングは生物学的な影響があり、薬物治療は心理学的作用があります」と述べており、適切な治療方法を選ぶ重要性について説いています。そのため、FDAの新ガイドライン草案だけでは、「別の病気」「恋人・夫婦関係の不一致」などから引き起こされる性機能障害には対処できないとも話しており、「恋人との不仲は薬で解決できないことを理解するべきです」とスティーブンソン氏は説明しています。



By Elizabeth Ashley Jerman

マウントサイナイ病院のマムタ・マミク婦人科学教授は、投薬の基準となる「性欲レベルの計測」が複雑であることを問題として挙げています。マミク氏は投薬に抵抗を持つ人が多い中、うつ病のカウンセリングのように医師の裁量で女性向けバイアグラが処方されることに反対しており、単に性欲が刺激されても、異なる問題が放置される可能性があることを懸念しています。

女性の性機能障害を測定するテストとしては「FSFI」が最も一般的とされており、「どれくらい頻繁に性的衝動を感じましたか」「自分の性的衝動をレベルで言うといくつですか」などの19の質問に答えることで、性機能障害のスコアを測定することができます。スティーブンソン氏とマミク氏は「FSFIが現時点で恐らく最良の指標」と肯定しているのですが、FSFIの質問には「セックスの時にどれくらいの頻度で潤滑になるか」といった主観的体験を分離するのが難しいとされる質問もあることから、FDAは「いくつかの質問が誤解を招きやすい」として、製薬会社にFSFIを推奨することに否定的です。

医療サイドは政府主体で女性向けバイアグラの使用だけが推奨される事態を懸念しているわけですが、少ない人数ながらAddyなどを使って「効果があった」と述べているのも事実です。なお、FDAは「Palatin」という新しい女性向けバイアグラの承認プロセスを進めていると見られており、女性向けバイアグラの新ガイドラインは2016年12月にも正式に発布される予定です。