「ウルトラマンシリーズ放送開始50年 特別企画:脚本家 金城哲夫」が開催された

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放送開始から50周年を迎える「ウルトラマン」シリーズ。この国民的番組の概要はもはや説明不要だが、なぜ「ウルトラ」は半世紀も続くコンテンツになり得たのか?そして「ウルトラ」を超えるような、今求められている企画とは?11月3日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで第29回東京国際映画祭の特別提供企画として開催されたトークセッションで、映画関係者や識者が討論した。

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このトークセッションのタイトルは「ウルトラマンシリーズ放送開始50年 特別企画:脚本家 金城哲夫」。「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などでメインライターを務め、シリーズの原型を築きあげた脚本家・金城哲夫にスポットを当てられた。

金城といえば、地球を守る強く優しいヒーロー像を描いただけでなく、差別や迫害、平和といった深遠なテーマ性を「ウルトラマン」に持ち込んだシリーズの功労者。また、脚本家の枠にとどまらず、プロデューサー的な役割を担い、放送局や制作現場との調整役をこなしたキーマンとしても知られている。

登壇した劇団☆新感線の作家・中島かずきは、会場のスクリーンに金城の企画の骨子となる創作メモが映し出されると、「素晴らしいなと思うのは、このメモの時点で海外戦略を頭に入れていること。日本だけに収まらず、世界中の誰が見てもわかるようなフォーマットを作っている。これは今の日本の作品づくりでも大切なことですけど、それを50年前にやっていたなんて、さすがだなと思います」と舌を巻いた。

この創作メモについて、『るろうに剣心』(12)の大友啓史監督は、自身が手掛けた大河ドラマ「龍馬伝」を引き合いに出しながら、「自分がかかわる前の大河ドラマはルーティン化している感じがして、たまらなく嫌だった。金城さんの創作メモのように、企画が走り出した時点は、原始的で面白い。もちろんルールはあるけど、混沌としていて、パワーにあふれている」と語った。

「銀河英雄伝説」の著者・田中芳樹は金城の脚本に登場する「少数派の意見」に目をつけた。「少数派の言うことだから正しい、ということではなく、少数派にならざるを得ない立場にある人の意見が反映されています。『ウルトラQ』は全部拝見していますが、その意見は非常に心に刻み込まれました」。

「ウルトラマンは、ゴジラやブルース・リーと並ぶ発明だと思う」と指摘するのは『リング』(98)の脚本家として知られる高橋洋。「『ウルトラマン』は悪を神が成敗するという人間の根源に訴える要素と、宇宙人が乗り移る侵略SFという異質なものが掛け合わされている。そういうことを企む人が、次から次へと発明を産むんだと思います」。

また、高橋は長い間愛され続けるシリーズについて考察した。「どうすれば作品が古びないか?これは本当に考えさせられる。同じ年代の映画の暴力描写でも、たちまち古びてしまうものと、今見ても息を飲むような暴力の二種類がある。すぐに古びてしまうものは暴力を記号的に捉えているからで、古びない暴力描写には本気のリアクションがある。54年版の『ゴジラ』が古びないのも、ゴジラを見上げている人のリアクションが本気だから」。

イベントでは円谷プロダクションの代表取締役社長・大岡新一氏も挨拶し、「金城哲夫の功績は大きい」と明言。円谷プロでは「円谷プロダクション クリエイティブアワード 金城哲夫賞」を創設し、企画・脚本を募集しているが、大岡氏は「『ウルトラマン』と並び立つ、それを超えるようなエンタメ作品を作っていきたい」と意気込みを語った。【取材・文/トライワークス】