会見したクリス・クラウス監督

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 第29回東京国際映画祭が11月3日、閉幕を迎え、各賞受賞者がEXシアター六本木で会見した。東京グランプリとWOWOW賞に輝いた「ブルーム・オヴ・イエスタディ」のクリス・クラウス監督は、リラックスした表情で登壇。報道陣からの祝福の言葉を受けるたびに「ありがとう」と応じ、歓喜の面持ちを浮かべた。

 同作は、ナチズムの加害者・被害者それぞれの孫が出会い、許し合う姿をコメディと恋愛を交えて描いたドイツ=オーストリア合作映画。製作経緯を問われると「ホロコーストの記録文書を探すなかで、被害者・加害者の孫世代が、楽しそうに一緒に過ごしていることに気が付きました」と振り返り、「ユダヤ人の孫世代が、過去を冗談交じりに話していて『私たちはある種の軽さでテーマを扱ったほうが良い』と思った」と語る。映画のラストでは「次世代への希望」が紡がれているが、「大きなテーマとして、和解に対する希望があります。それを示す象徴が子どもなんです。主人公たちは映画のなかで、長い苦しみの旅路を経て、小さな希望を手に入れます」と打ち明け、プロデューサーのカトリン・レンメ氏も「パーフェクトなエンディングです」と誇らしげに語っていた。

 観客賞と最優秀男優賞の2冠を達成したフィリピン映画「ダイ・ビューティフル」の主演パオロ・バレステロスは、受賞の報を受け急きょフィリピンから再来日。「初主演作が東京でワールドプレミア上映され、私が最優秀男優賞。非常に感激していますし、大きな意味があります」と声を震わせ、トランスジェンダー役を熱演しただけに「女優賞もとれていたら、とてもめずらしいことでしたね」と破顔した。メガホンをとったジュン・ロブレス・ラナ監督も、「今作、前作ともに東京国際映画祭で上映でき、賞を頂けて本当に嬉しい」と喜びをかみ締めていた。

 日本映画スプラッシュ部門作品賞は、渡辺紘文監督作「プールサイドマン」。製作費は食費のみという超低予算で撮影されたが、渡辺監督は「過去作も低予算の自主映画で、自分のなかで“つくりかた”が出来てきたと思っていて、今のスタイルを捨てきることは考えていません。しかし同時に課題でもあり、きちんと映画をつくらなければとも思っています」と決意を新たにしていた。

 会見には、スウェーデン=デンマーク=ノルウェー合作映画「サーミ・ブラッド」(最優秀女優賞&審査員特別賞)のアマンダ・ケンネル監督とレーネ=セシリア・スパルロク、クロアチア=デンマーク合作映画「私に構わないで」(最優秀監督賞)のハナ・ユシッチ監督、中国映画「ミスター・ノー・プロブレム」(最優秀芸術貢献賞)のメイ・フォン監督、フィリピン・カタール合作映画「バードショット」(アジアの未来部門作品賞)のミカイル・レッド監督、インド映画「ブルカの中の口紅」(アジアの未来部門特別賞)のアランクリター・シュリーワースタウ監督も出席した。