連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第5週「お父さまの背中」第27回 11月2日(水)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出: 新田真三


27回はこんな話


良子(百田夏菜子)の夫・勝二(田中要次)が戦地から帰ってきた。明美(谷村美月)とウマが合わない良子は、夫を理由にしてベビーショップあさやを辞めると言い出す。

おくゆかしいながら、外しにかかる


お店で明美を待っていると、入り口がガラリ。でも麻田(市村正親)で、がっくり。
次に、ガラッとまた誰かが。
「そんなときついに待っていた人が帰ってきたのでした」(語り/菅野美穂)
と、まさかの紀夫君(永山絢斗)? と思わせて・・・主題歌が入り、その後、現れたのは・・・
良子の夫だった。
「友の幸せをこころより嬉しく思うすみれ(芳根京子)です」(語り)とはいえ、やっぱり紀夫くんのことが気になるのは当然という流れを、あくまでも真面目に書いているのか、それともくすっとさせたいのか。表現がおくゆかしくて判断に迷うところ。

そして良子の家の食卓。おいもを蒸すと蒸し器の底に蜜のように残る甘い汁や塩鮭を特別に夫に出すとか、夫思いでいじらしい良子。外では風がピューピュー吹いている。この風の聞こえ方から、貧しいおうちなのもよくわかる。
向かい合う良子と勝二は年齢差15歳。俳優たちの実年齢だと30歳差。この年の差夫婦の姿も真面目に当たり前なものとして書いているのか、ツッコませたいのかどっちなのか、表現がおくゆかしくて判断に迷う。
9回では15歳も年上なんてーとかつて言っていた良子もすっかり勝二さんを大事にしていて仲睦まじいが、時々、百田夏菜子と田中要次が娘とお父さんに見えてしまうのも否めない。

朝ドラ初出演になる田中要次。映画を中心に活動していたところ2001年、フジテレビ月9「ヒーロー」の「あるよ」がキメ台詞のマスター役で注目された。それだけ短い出番でもインパクトのある存在感を出せる俳優だ。

東京出身脚本家はおとなしいのか


良子の食卓での会話も、声のトーンが抑えめ。安普請の小さな家のなかでの会話のリアルを狙っているのかと思うが、大阪制作の朝ドラは、表現が強く明るくストレートで、笑いも吉本新喜劇のノリが入ってくるというイメージがあった。だが「べっぴんさん」はヒロインのおくゆかしさに合わせてか、静かで淡々としている。この独特なノリが次第にクセになってきた。
ちょっと気になって、近年の大阪制作の朝ドラの脚本家の出身地を調べると「あさが来た」(15)の大森美香は福岡、「マッサン」(14)の羽原大介は東京、「ごちそうさん」(13)の森下佳子は大阪、「純と愛」(12)の遊川和彦は東京生まれの広島育ち、「カーネーション」(11)の渡辺あやは兵庫、「てっぱん」(10)は共同脚本の今井雅子が大阪、「ウェルかめ」(09)の相良敦子が東京、「だんだん」(08)の森脇京子が兵庫県、「ちりとてちん」(07)の藤本有紀が兵庫県と、西の出身者が多い。東京制作の朝ドラは「梅ちゃん先生」(12)の尾崎将也が兵庫出身の例をのぞき東京出身が多かった。
「べっぴんさん」の渡辺千穂は東京出身。関西でも各県で違いがあるし、関西人だからこうと決めつけてしまうのもよろしくないし、今回のようなトーンが出てくることで朝ドラにバリエーションができて良いのではないか。

女のいがみあい2日め


明美対良子 どっちも性格がキツい。
明美、図太い。良子がいやがることを言っている自覚がないらしく、「(また)お客さんに怒られたんじゃ?」と訊いたり、「ご苦労さまでした」とさっさと追い出すようなことを言って、良子の気持ちをさかなでする。
良子も「悔しかったら奥さんになればいいのに」とこれまたキツイことを言うと「仕事もってますから」と反論。でもじつは仕事をクビになったばかりで強がっているのだ。
このへんリアル過ぎてしんどいので、すこーし笑いの要素などが入っていたほうが見やすいのでは、と余計なお世話だが思った27回だった。
(木俣冬)