確定拠出年金「元本保証商品」の意外なリスク

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■元本保証型なのにマイナス金利?!

確定拠出年金の場合は、運用商品のラインナップに必ず一つは元本保証型のものを揃えておく必要があり、定期預金が用意されています(ただし2017年の改正で必ずしも元本保証型を入れなくてもいいようになる予定)。厚生労働省の調査によると、企業型加入者の約6割が100%元本保証型を選んでいるというデータがあります。

ただ、昨今のようにマイナス金利が騒がれるような超低金利下では、定期預金の利率は極めて低く、年0.001%程度に過ぎません。個人型ではこのような金利水準でも確定拠出年金の口座を維持するための手数料が差し引かれるわけですから、元本保証型に入れておくのはまさにマイナス金利と同じ。元本割れを恐れるあまり、運用資産の大半をほとんど金利のつかない預金の積立にしてしまうと、いくら長期で積み立てても、運用による効果が得られないのです。たとえれば、1年定期を自動継続していき、毎年定期預金が一本ずつ増えていくだけのようなものです。

確定拠出年金の投資内容は自分の資産全体で考えることが必要です。たとえば、他の資産がほとんど円ベースの預貯金だけという方が、さらに確定拠出年金で手数料を払ってまで定期預金を追加するメリットがどれほどあるでしょうか? あんまりないですよね。

また、万が一、銀行が破綻したときは、預金保険制度によって、一金融機関につき、元本1000万円までとその利息が保護の対象となりますが、確定拠出年金の預金と一般の預金は合算されます。なので一つの金融機関で多額の定期預金と確定拠出の元本保証型を保有していると、総額で1000万円以上は保障されないことになります。

■保険商品はうかつに動かすと大損する

保険商品も元本保証型商品のひとつですが、保険会社破綻時は、生命保険契約者保護機構、損害保険契約者保護機構によって、責任準備金などの90%が保護の対象です。貯まった資金の90%ではありませんので、ご注意を。

また、保険商品には、もうひとつ注意点があります。中途解約時の取り扱いです。定期預金は中途解約しても、中途解約利率が適用され、利率は減りますが、元本は確保されています。ただし保険商品は、満期前に中途で解約すると、解約控除が適用され、元本が割れる場合があります。この解約控除には手数料もかかってきます(ただし老齢給付金の一時受け取りや離職、転職などの場合には解約控除は適用されません)。

要するに、満期以前にうかつに動かして中途で商品を変えるとソンをしてしまう可能性が大きいということです。元本保証型と言っても元本が割れるリスクはきちんとありますから、そこは留意しておくべきです。

※本記事は書籍『ズボラな人のための確定拠出年金入門』からの抜粋です。

(社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー 井戸美枝=文)