第5回のゲストは、エッセイストの紫原明子(しはら・あきこ)さん。

高校卒業後、起業家の家入一真さんと結婚・出産。専業主婦として、起業家の夫を支えながら2人のお子さんを育てていたところ、夫の浮気が発覚! 離婚を機に一念発起して、31歳で社会人デビューと、超濃厚な人生経験を持つ紫原さん。

デビュー作『家族無計画』(朝日出版)に続き、子どもたちへのインタビューから現代の家族のカタチを探った新刊『りこんのこども』(マガジンハウス)も話題になっています。前編は、仕事と家族についてたっぷり語っていただきました。後編は、ズバリ恋愛と結婚について聞きます!

「イレギュラーな体験」は恋愛で?

小沢あや(以下、小沢):明子さんとお会いするのは初めてではないんですが、初対面の時に明子さんが「お金って、億単位であってもすぐなくなるんだよー!」って笑って話していたのがとても印象に残っています。「明子さんって、何者なの!?」って。明子さんのエッセイを全部読んで、やっと状況が飲み込めたんですよ。

紫原:あはは。そうですよね、いきなりそれじゃ引きますよね(笑)。

小沢:お子さんは、明子さんの文章を読んでいるんですか?

紫原:娘に読んでもらって意見をもらったりしますね。あと、私のtwitterは見ているみたいです。だから基本的に、子どもに読まれて問題ないことしか書かないし、言わないようにしています。

小沢:恋愛観は語りつつも、具体的なことは書いていないですよね。プロフェッショナルにママ。アイドルみたい(笑)!

紫原:インタビューで「恋愛したいと思います」とは言いますけどね!(笑)。

小沢:気持ちは常にあるんですか?

紫原:あります! だって年を重ねるほど器用になるし、世の中のことがわかってくる。それで自分のことだけやってるのでは将来、子育てがひと段落した頃には暇になると思うんですよ。だから、予定調和が乱されるような、イレギュラーな体験がついてくるような恋愛をたくさんしたいなと思いますね。ほっとけないタイプの人の人生に関わりたい気持ちもある……。

小沢:明子さんは、恋愛も楽しもうとしているのが素敵だなと思います。女性として見られることについても変な抵抗がなくて、「今、渋谷でナンパされた!」ってtwitterで喜んでいたり。そしてそれが、RT(リツイート)されているっていう(笑)。

紫原:だってうれしいもん(笑)!

母と息子の関係は複雑?

小沢:母子家庭だと、恋愛するにも「母は女になってはいけない」「子どもにそういう部分を見せちゃいけない」って悩む人も多そうですね。

紫原:『りこんのこども』の取材をしていたとき、息子とお父さんの二人家族だと、恋愛の話もカジュアルに話せるんだなと驚きました。父と息子は、男同士になりやすいのかもなって。でも母と息子、もしくは母と娘の場合は、もうちょっと難しいような気がします。社会が暗に課す役割のせいかな。母が女を兼ねることを、子どもに受け入れてもらうのはなかなか難しい気もします。

小沢:「お母さんには彼氏がいる(存在する)と思うな」と息子さんから言われたというエピソードがありましたよね。

紫原:それも、「本当にはいない」と思っているから気軽に言えるんじゃないかな。「お母さんが本当に再婚するかもしれない」っていう事態になっていないから、冗談で言えるんだと思う。

小沢:「子どもが高校生になるまでは再婚しない」というような、マイルールがあるんですか?

紫原:それは特にないですね。「この人だったらうちの家族になれるな」という人と出会ったら、いつでも再婚します。もしくは、子どもたちが恋愛する母親を受け入れられる年齢まで待つ、でもいい。とにかく、子どもたちが無理せず、自然に受け入れられる状況であれば何でもいいです。

結婚は年とってからのほうがラク?

紫原:結婚適齢期……って言葉も今ちょっと死語になりつつありますけど、20代、30代は働き盛りですよね。昔は当然のように女性みんなが結婚して、子どもを産むものと思われていたけど、本当はそんなに子どもが欲しくない人だっているはずで、子どもを考えないんだったら、結婚は焦らなくてもいいと思う。50歳過ぎてからの結婚とか、年をとってからの方が、身軽にチャレンジできるような気がします。

小沢:50歳過ぎカップルの実例だと、『ダーリンは70歳』のマンガ家の西原理恵子さんと医師の高須克弥さんが思い浮かびます。素敵ですよね。

紫原:そう。アラサー、アラフォーはお金も仕事も体力もしっかりあって、譲れないものがライフスタイルに出てきちゃう。でも、アラフィフ以降になると、もしかしたらそれを一つ乗り越えた、いい距離感を見つけられるんじゃないかな。

小沢:この間お会いした時に「“生涯未婚率”という言葉をよく目にするけど、50歳で切られているのが不思議*」という話をしましたよね。

*生涯未婚率は「45〜49歳」と「50〜54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率を算出したもの。

紫原:50歳以上の結婚は、実際に増えているという話もあります。多くの人が元気に長生きするようになって、シニア世代を満喫できるようになってるんじゃないかな。

小沢:明子さんの「50歳過ぎると、既婚者も死別や離婚をして恋愛市場に戻ってくる」っていう話が印象的でした。「35歳を超えると、独身のいい男なんてもう残ってない!」という話をよく聞きますけど、実はその先にチャンスがあるのかも。

紫原:そうそう、きっと2ラウンド目、3ラウンド目の人が、戻ってくるとふんでます。で、一度離婚を経験した人は、ある意味「離婚ってこんなもんか」とわかっているだろうから、より身軽になれるんじゃないかな。「ダメだったら次!」って(笑)。どうせ退屈な人生の余興として、恋愛はどんどん楽んだ方がいいと思います。

【イベント情報】
『家族無計画』刊行を記念して、紫原さんと作家の山崎ナオコーラさんによるトークイベント「山崎ナオコーラさん×紫原明子さんの『家族と社会』にまつわるトーク」が11月11日に東京・渋谷の「スマートニュースイベントスペース」で開催されます。
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■店舗情報
café chillax (カフェ チラックス)
住所:東京都目黒区中目黒1-4-6
営業時間:
平日 11:30~24:00(L.O.23:00)
金・土・祝前 11:30~2:00(L.O.1:00)
定休日:なし
電話番号:03-5794-8848

(小沢あや)