2度目の長崎訪問となった塚本晋也
 - 写真:繁延あづさ

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 映画『タクシードライバー』などの巨匠マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作の「沈黙」(新潮文庫刊)を映画化した『沈黙 -サイレンス-』。同作で敬虔なカトリック信徒であるモキチを演じた塚本晋也が1日、長崎・日本二十六聖人記念館にて記者会見を行い、同役をオーディションで射止めた際の裏話から、50キロを切る減量という過酷な役づくりまでを語った。

 スコセッシ監督が1988年に原作と出会ってから28年にもわたって、企画を温めてきた本作は、17世紀江戸初期、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるために日本を訪れた宣教師の目を通して、人間にとって本当に大切なものとは何かを描いた壮大な歴史大作だ。

 キャストには、アンドリュー・ガーフィールド(『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ)、リーアム・ニーソン(『シンドラーのリスト』)、アダム・ドライバー(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』)といったハリウッドの第一線で活躍する俳優陣に加え、日本から窪塚洋介、浅野忠信ら実力派が集結している。

 映画監督にして、俳優としても個性的な演技で活躍している塚本。自ら主演を務めた監督作『野火』(原作:大岡昇平)が話題になったことも記憶に新しい。そんな塚本は本作について「現在生きている監督で、最も尊敬しているスコセッシ監督が日本の原作を映画化するということは“事件”。皆さんも一緒にその“事件”を体感していただきたい」と口を開く。

 『タクシードライバー』を観て以来、スコセッシ監督のファンだという塚本は、テレビドラマで英語を話す役を務めていたことで本作のオーディション参加を打診されたのだそう。そうして参加したオーディションでは、「監督とセリフの掛け合いをする機会がありました。監督はもの凄く演技が上手で、自分も名優になったように感じた。それはまるでジャズのセッションのようで、この経験があれば受かっていなくてもいいと思えたくらいだった」と振り返る。

 出演が決まり、待ちに待った巨匠の現場とはいかなるものだったのか。「(スコセッシ監督は)あまり演技指導はしないんです。その代わり、何度も何度も撮る。5回6回なんてレベルではなく、カットによっては100回くらい。それがもうビックリでしたね。ただ、役者をすごく信用していて、すべてゆだねるんです。極端に言うと『好きにしていいよ』と。役者が出したものを最終的に監督が汲み取って、映画の血肉にしていく」とその演出術に驚きを見せる。

 また、モキチの役づくりについて「自分のキャラに近いのはキチジロー(窪塚が演じている案内人)ですが、敬虔な信徒であるモキチを演じるに際しては、自分が信じるスコセッシをスコセッシ教として崇める気持ちと、戦争がまた起こってしまうかもしれない現在に、未来の子供たちに祈りを捧げる気持ち。この2つを心に持って」挑んだという。さらには「モキチ役では50kg切るまで痩せなくてはならなく、栄養士がついていたものの、かなりギリギリまで痩せて辛かったです。立ち上がるのも、何かをつかまなくてはならない感じだった」と精神面だけではなく、肉体面でも過酷だったことを明かした。モキチは激しい弾圧を受ける役柄ということもあり、「殉教シーンの撮影で、万が一、死んでしまってもまあいいか、と思えるほどの映画。それほどの想いで取り組んだ。答えるのは難しいですが、一言で言うと最高の映画です」と熱い思いを打ち明ける一幕もあった。(編集部・石神恵美子)

映画『沈黙 -サイレンス-』は2017年1月21日より全国公開