1位に選ばれたのは? 「東京国際映画祭コンペ部門」“満足度ランキング”発表【2016】

写真拡大

東京国際映画祭もいよいよ残り2日! コンペティション部門のノミネート作品全16作品の上映も全て終わったところで、各作品を見終えた観客の満足度ランキングベスト16を発表!

Character JAPAN追っかけ!TIFFアニ!!×東京国際映画祭2016特集

審査員の審査による「東京グランプリ」の行方も気になるが、実際に劇場に足を運んだ観客の評価は…?

【第16位】『浮き草たち』 満足度:67.3点

俳優:3.9
ストーリー:3.3
音楽:4.1
演出:3

『浮草たち』は東京国際映画祭のコンペティション部門には珍しいアメリカ映画。国際的な評価を集めるアダム・レオン監督による作品で、ある仕事を頼まれた主人公が、謎めいた事件に馬見込まれていくさまを描く。

スリラーにしてラブストーリーでもあり「犯罪ものですが軽快なライトコメディでもあり、テンポもよく、ボーイミーツガールの要素もあり面白い!」など、ジャンルをまたいでの展開力を高く評価する声が多く見られた。特に主人公と、彼が出会う謎の女に対し「さわやかな感じでよかった」「粗削りだけど、さわやか」「チャキチャキとした音楽に合わせて展開し行く感じがよかった」と青春映画として高評価を得ている。

ちなみに主人公を演じたカラム・ターナーはイギリス出身の26歳で、『グリーン・ルーム』など、日本でも公開予定の作品に多数出演しており、今後、注目を集めそうだ。

【第15位】『パリ・ピガール広場』 満足度:73.5点

俳優:4.4
ストーリー:3.4
音楽:3.9
演出:3.7

長年ヒップポップグループから影響を受けてきたラップグループが作った、現在のパリを象徴するリアルな人間模様。

「パリの移民生活がよくわかって楽しめた」「様々なバックグラウンドを持つ人々が描かれていて興味深かった」という意見が寄せられた。

主演のレダ・カテブは出演作が目白押しの実力派俳優。観た人からは演技の評価もやはり高かった。

【第14位】『誕生のゆくえ』 満足度:79.3

俳優:4.7
ストーリー:4.5
音楽:3.7
演出:4.2

「静かな怒りと強烈な愛に溢れた普遍的な物語」と言った感想が寄せられた本作は、中絶をテーマに映画監督の夫と舞台女優の“夫婦の選択の行方”を描いたヒューマンドラマ。

「現代のイラン社会を冷静に描いていて、勉強になった」「夫婦の意見の相違を通して、人として家族としてどう捉えるべきか考えさせられた」といった意見から、観るものに深い考察を与えた作品だったようだ。

【第13位】『ブルーム・オヴ・イエスタデイ』 満足度:79.7点

俳優:4.2
ストーリー:4.3
音楽:4.2
演出:3.8

第6位は日本でもヒットを記録した『4分間のピアニスト』にて、獄中の天才ピアニスト少女と戦中の辛い記憶を抱える老女の交流を描いたクリス・クラウス監督の『ブルーム・オヴ・イエスタディ』で『4分間の…』と同様にホロコーストを題材にしつつもユーモアあふれるラブストーリーに昇華させている。

ホロコーストのイベントを企画するも、強引さゆえに担当を外された男性が風変わりなフランス人の女性と独自に準備を進めるが、そこで意外な事実が…。

ビジュアルや短いあらすじからは、なかなか展開の読みづらい物語だが、見終えた観客の評価では、ストーリーが平均4.3点と高得点を記録し、俳優、音楽も平均4.2点と高水準。

主演ラース・アイディンガー、共演のアデル・ハネルは、日本での知名度はまだまだ高くはないが、本場欧州では国境を超えて活躍する売れっ子である。特にハネルはダルデンヌ兄弟の新作でヒロインを演じ、カンヌでも注目を浴びた気鋭の存在であり、今後、日本でもファンが増えそう。

作品自体も女性を中心に幅広い年齢層が鑑賞しており、良質な欧州映画として安定した高い評価を得たと言える。

【第12位】『私に構わないで』 満足度:80点

俳優:4.5
ストーリー:3.8
音楽:3.8
演出:4.1

クロアチア有数の観光地ダルマチア地方を舞台に、その華やかな光と対比するように、狭く窮屈で雑然として住まいに暮らす家族に焦点を当てたドラマ。

不幸ではないが、決して幸せではない内向的なヒロインが捉えた、家族の理想の形とは…。主演のミア・ペトリチェヴィッチは全く演技経験がないにも関わらず、抑圧された内向的な女性を見事に具現化。その自然な演技に高評価が集まった。

【第11位】『シェッド・スキン・パパ』 満足度:80.8点

俳優:4.6
ストーリー:4.3
音楽:4.2
演出:4.1

同率の第4位には、日本の劇作家・佃典彦の戯曲を原作にした香港発の感動コメディ『シェッド・スキン・パパ』が入っており、質の高い作品群の中でキッチリと平均80点超えを達成。

主人公が映画監督として挫折し、借金と離婚問題に頭を悩ませる一方で、老いた父が“脱皮”して若返るという奇想天外な物語が展開。香港の歴史を織り交ぜるなど、日本の原作から新たな作品へと“脱皮”を遂げている。

シュールな展開を愛の物語へと着地させている、演劇畑出身のロイ・シートウ監督の手腕を評価する声が高く「ユニークな演出が面白い」「笑って泣ける作品になっていた」との声が寄せられている。

またこの演出に見事に応え、存在感を放っているキャスト陣への称賛も多数で「俳優」に関しては上位2作の上を行く平均4.6点を記録!

特にW主演のひとり、フランシス・ンに絶賛の声が集まっており、主演男優賞も期待できそうだ。

【第10位】『サーミブラッド』 満足度:80.8点

俳優:4.4
ストーリー:3.8
音楽:4.4
演出:3.8

中間発表で高位置につけていた社会派ドラマは第10位。

スウェーデンの少数民族サーミ族に対する差別の歴史をテーマにしており、この問題の存在自体、初めて知ったという観客も多かったよう。一方で、少女を主人公に青春映画にも仕上げており、主人公の女優への称賛も多数寄せられていた。

【第9位】『ダイ・ビューティフル』 満足度:82.1点

俳優:4.8
ストーリー:4.2
音楽:3.2
演出:4

フィリピン発のトランスジェンダーの主人公の波乱と個性に満ちた人生を巧みな構成で描き出したヒューマンコメディは第9位にランクイン。

死を暗く描き過ぎず、笑いと温かさに満ちた物語に仕上げており、俳優への高評価に加え、ショーの部分も観客を大いに楽しませたようで、項目別では音楽も高得点を得た。

【第8位】『雪女』満足度:82.2点

俳優:4.5
ストーリー:3.9
音楽:4.2
演出:4

日本からコンペティション部門にノミネートされていたうちの1本『雪女』は第8位。

国際映画祭に出品される日本映画にふさわしい、映像表現や繊細でセンシティブな“美”を評価する声が多数、寄せられた。決して難解なわけではないが、様々な解釈を観客に促す作風に対する評価も高かった。

【第7位】『フィクサー』 満足度:84.0点

俳優:4.5
ストーリー:4.3
音楽:4.3
演出:4.5

売春で摘発され、パリからルーマニアに送還された少女を追うTVクルーを通じて、ヨーロッパの闇を描いた社会派ドラマが項目別でも全項目で4.3以上、満足度でも84.0点という高評価で第7位に。

「少女の姿がリアル」「過剰な演出のないリアルさに惹かれた」など、ことさら大げさに描くのではなく、リアリティを重視して社会問題に迫った点にも多くの称賛が寄せられた。

また、主人公のジャーナリストの親子のドラマを描くことで、社会問題に対する描写がより深まったという声も。

【第6位】『ビッグ・ビッグ・ワールド』満足度:84.3点

俳優:4.7
ストーリー:3.8
音楽:4.0
演出:4.8

離れて里親と暮らす妹を気にかける兄が、彼女の奪還を決意し、妹と共に森へと逃げるという物語だが、俳優:4.7、演出:4.8という高得点をたたき出し、満足度も84.3と高評価!

特にほとんどセリフがない中で、大自然の描写で見る者を引き込んでく手法に多くの称賛が寄せられた。

音と映像を重視し、人ではなく自然を主人公とするかのような独特の世界観の作品は何回でもあるが、多くの観客の心をとらえたよう。

【第5位】『アズミ・ハルコは行方不明』 満足度:84.6点

俳優:4.6
ストーリー:4
音楽:3.9
演出:3.9

日本からのもう1作、蒼井優主演の『アズミ・ハルコは行方不明』は満足度84.6点で第5位にランクイン!

特に主人公と同世代の女性から「見ていて苦しくなったけど面白い!」「共感した」という声が多く寄せられた。

『雪女』とは全くタイプの異なる、“現代日本”を海外の観客および審査員がどのように捉えるのかも興味深いところ。蒼井優、高畑充希ら女優陣を称賛する感想も多く、女優賞への期待も高まる!

【第4位】『7分間』満足度:86.0点

俳優:4.5
ストーリー:4.4
音楽:3.6
演出:4.1

中間発表の時点で第1位だったイタリアの社会派サスペンスは第4位。

不況によるリストラの断行、若者や女性の失業率の高さなど、まさにイタリア、そしてヨーロッパの“いま”を描いた作品で、日本の観客から見ても決して他人事ではないリアリティをもって心に迫ったよう。

一方、『12人の怒れる男たち』に言及する感想が多く寄せられたように、スリリングな会話劇として上質なエンターテイメントに仕上げている点が多くの支持を集めた。

【第3位】『天才バレエダンサーの皮肉な運命』満足度:87.4点

俳優:4.9
ストーリー:4.5
音楽:4.7
演出:4.5

マリインスキー劇場の舞台監督や美術などを手掛けているロシアの新鋭アンナ・マチソン監督が、かつては天才と名をはせたバレエダンサーを主人公に、華麗なるロシアン・バレエの光と影を描く『天才バレエダンサーの皮肉な運命』が観客満足度で“銅メダル”獲得。

俳優部門が4.9という高得点をたたき出しているが、傲慢で尊大な主人公の性格の悪さに不愉快さを覚えつつ、その変化に引き込まれたという声が多数!! 男優賞の受賞の期待も高まる。

「ロシア映画の印象が変わった」という声も多く、演出、物語、音楽など総合力の高さにも称賛が。

十分にグランプリを狙える高い評価を得ている。

【第2位】『ミスター・ノー・プロブレム』 満足度:88.0点

俳優:4.8
ストーリー:4.3
音楽:3.9
演出:4.7

モンゴル自治区出身のメイ・フォン監督のデビュー作で、近代中国の文豪・老舎の短編小説をモノクロで映像化した『ミスター・ノー・プロブレム』が満足度88.0点の高得点で第2位!

「白黒なのに“色”を感じさせてくれた」という、美しいモノクロ映像への称賛と共に「ゆったりとした中で、最後にピリリとスパイスの効いたストーリー展開が素晴らしい」など、この映像に見事にマッチしたストーリーを評価する声も多数寄せられた。

『天才バレエダンサーの皮肉な運命』と同様に映像、音楽、演技力、演出が見事に融合し、映画ならではの豊かな表現がなされており、どちらかと言えば地味な文芸作品でありながら2位という高い評価を得た。

【第1位】『空の沈黙』満足度:89.2点

俳優:4.7
ストーリー:4.6
音楽:4.2
演出:4.7

満足度90点越えはならなかったが、圧倒的な支持を集めて満足度1位に輝いたのは、重くつらい心の傷を負い、極限まで追い詰められた夫婦の姿を心理スリラーとして描いた『空の沈黙』。

冒頭からかなり、ショッキングなシーンが描かれているが、そこからの展開にガッチリと心をわしづかみにされたという観客が多く「息詰まるサスペンス!」「サスペンスに夢中になった」といった声が多く寄せられた。

光や音、さらにはモノローグを巧みに使い、スリルを高めた監督の手法に対する絶賛の声も多数。

さすがに選び抜かれてコンペにノミネートを果たした作品とあって、全16作品中ベスト10の作品は全て満足度80点以上というハイレベルの戦いとなった。

社会問題を描いた作品が多い中で、上位には物語だけでなく、映像、音楽などの要素が融合した総合力の高い作品がランクイン。特に『空の沈黙』は心理スリラーで見事に観客を魅了し1位を獲得した。

グランプリ受賞となれば、2年連続でブラジル映画が受賞となるが果たして…!? 観客賞、俳優賞などの行方も気になるところだ。