米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントンの陣営は、投開票まで11日となったタイミングで「メール疑惑」に関連するかもしれない新たなメールの発見と捜査の再開を発表したジェームズ・コミーFBI長官について、「あからさま」「開いた口が塞がらない」とダブルスタンダードを批判した。コミーは一方で、ロシアが米共和党候補ドナルド・トランプを支援する目的で米大統領選に介入していることの公表には反対していたからだ。

ヒラリーよりロシアに気を使った?

 米ケーブルテレビCNBCやニュースサイトのハフィントン・ポストは、匿名の元FBI高官の証言を入手。それによるとコミーは、ロシアが選挙に介入していることを公式に批判するには「大統領選投票日に近過ぎる」と言って反対したという。コミーは大統領選挙への影響だけでなく、法執行機関が自らの立場を利用して選挙に影響を与えることを禁じたハッチ法に抵触する可能性があると懸念していた。

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 10月7日、米国土安全保障省長官と国家情報長官はロシアのサイバー攻撃を断定した内容の共同声明を発表した。「米政府の情報機関は、最近米国人や政治組織がハッカー攻撃を受けてメールが流出したのはロシア政府の指示によるものだと確信しており、一連の情報収集の目的はアメリカの選挙に干渉することだ」

 コミーは声明の内容には同意したものの、公表は遅らせようとしたという。声明にもFBIの名前は含まれなかった。

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「あからさまなダブルスタンダードだ」と、メディアの取材に応じたクリントン陣営のロビー・ムーク選挙活動委員長は憤った。「コミー長官はアメリカの民主党候補に与える影響よりも、ロシア政府が関与する問題の方に配慮を見せた。開いた口が塞がらない」

 ムークはコミーの二つの決断について「論理的に全く成り立たない」と批判した。

 この件について本誌はFBIにコメントを求めたが、まだ回答はない。

ルーシー・クラーク・ビリングズ