Yahoo! JAPANコーポレートブログ内「どこでもオフィス」紹介記事より

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 最近は、日本でも在宅勤務を拡充している会社が増えてきました。働き方改革を強く進めているヤフーでは、在宅勤務という枠を超え、「どこでもオフィス」など、おもしろいアイデアを打ち出しています。「どこでもオフィス」というのは、自宅でもカフェでもどこでも働くことができるといったものです。今後は、このように従業員に柔軟な働き方を認める会社が徐々に増えてくるものと思われます。

 筆者は多様な働き方を認めることには賛成です。一方、自分自身が多様な働き方を認めている欧州で働いた経験から、多様な働き方の別の面も見てきました。

 多様な働き方の課題とリスク、それは、

・オンとオフを区別する術があるかどうか
・情報漏洩とどう向き合うのか

 この2つ。以下、自身の体験を踏まえ、お伝えしたいと思います。

◆祝日も家でパソコンを開いて働いていた筆者

 働き方が多様な欧州では、在宅勤務に対する抵抗があまりありません。現に筆者も、体調がいまひとつのときや、家にいる必要があるときなどは、オフィスに行かずに自宅で働いてもいいという欧州の会社で働いていました。これはつまり、パソコンを自宅に持っていって仕事をしていいという意味でもあります。

 ここで生じうる課題は何でしょうか。

 それは、「オンとオフをどのように区別するのか」です。自宅でいつ仕事をしてもいい。特に誰から監視されているわけでもない。夜中でもいつでも時間を問わず、パソコンを開いて仕事を始めることができるわけです。

 筆者の場合、猛烈に働く上司を持っていたことがあります。その上司は祝日でも働いていることが多く、祝日でもメールをどんどん書いていました。ルール上は祝日ですので、こういったメールは見る必要はありませんが、熱心な上司が祝日もフルスピードで働いている。猛烈に働くことを生きがいにしていた私も、当然のように祝日でもパソコンを開き、働くことを選択していた時期がありました。

 結果、オンとオフの区別をしなくなりました。筆者のような行動を皆がするわけではないと思いますが、やはり会社員としては、いつでも働けるという状況下のもと、オンとオフの区別をどのようにするのか。この点は真剣に考える必要があります。場合によっては、あらかじめルールを決めるのも手だと思います。

◆情報漏洩対策に相当なお金を投じる欧州企業もある

 多様な働き方が進むと、もう一つ課題がでてきます。それが、情報漏洩とどう向き合うかです。

 例えば「どこでもオフィス」をするために、カフェに行こうと思ってパソコンを持っていったら、何らかの形でこのパソコンが盗まれてしまった。または、自宅で働くために、資料を車に入れてちょっと買い物に行ったら、車上荒らしにあってしまった。これは大問題です。

 これを防ぐためには何ができるでしょうか。私の勤めていた欧州の企業では、会社の外に持ち出せるパソコンのセキュリティーそのものを頑丈にするという投資をかなりしていました。もし多様な働き方を会社が認めることにするのなら、まずこのパソコンのセキュリティーに対しての投資は、必要最低限の投資と考えるべきでしょう。さらに、社外に持ち出せる情報とそうでない情報の線引きをしっかりとする必要性もでてくるでしょう。盗まれる危険があるという考えのもと、対策を練る必要があるということもできます。

 今後、多様な働き方を認める企業が増えてくるでしょう。一方、そこにはリスクと課題も存在します。多様な働き方を認めて従業員の満足度が高くなると思ったら、逆だった。そんな状況だけは避けたいものです。各企業には、従業員のため、そのリスクと課題をあらかじめ知った上で、同時に改革に挑んでいただきたく思います。

<文・岡本泰輔>

【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。
米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。