ヤンキース在籍時の黒田博樹【写真:Getty Images】

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米国内で黒田の功績に改めて賛辞、引退は「ポッカリと穴を残す」

 今季限りで現役を引退した広島の黒田博樹投手に対し、米国内で改めて賛辞が贈られている。米スポーツ専門サイト「SBネーション」が「ヒロキ・クロダの並外れたキャリアを振り返る」との見出しで特集し、その輝かしいキャリアをレポートしている。

 黒田は専修大から1996年のドラフト逆指名で広島入り。1年目に6勝を挙げると2008年にメジャー移籍をするまで6度の2桁勝利をマークし、2005年に最多勝(15勝)、2006年には最優秀防御率(1.85)にも輝いた。

 さらに渡米後のドジャース1年目では9勝をマークすると10年以降は常に10勝以上を挙げ、12年のヤンキース移籍以降も含めて日本人初となる5年連続2桁勝利をマーク。11年からは3年連続で200イニング超えも果たした。

 39歳で迎えた14年のヤンキース最終年も199イニングを投げるなど鉄人ぶりを発揮した右腕はメジャー通算212試合、1319イニングを投げ、79勝79敗、防御率3.45と堂々の成績を収めて広島に復帰。古巣でも2年連続で2桁勝利を挙げ、今年は25年ぶりのリーグ優勝にも貢献した。

黒田が偉大なのは「“3つの時代”で成功したこと」

 そして日本ハムとの日本シリーズ直前に引退を表明。第3戦で先発登板し、6回に異常を訴えて緊急降板したものの、5回2/3を4安打1失点1奪三振の力投を披露。NPB通算では321試合、2021回2/3を投げ、124勝105敗、防御率3.55。今年は日米通算200勝を達成するなど、数々の栄冠を手にしてユニフォームを脱ぐことになった。

 そんな右腕の引退について記事では「彼が偉大なのは、2つのリーグ、違う言い方をすれば3つの時代、環境で成功したことにある」と言及。「並外れた先発投手」と評し、特にメジャー球団に移籍以降も安定した成績を収め続けたことを高く評価した。

 また「クロダが残した衝撃は遠い未来まで影響を及ぼすだろう。キャリア後半、彼は野球界にいくつかのことを示した。まず、異なったリーグで投球するのは非常に困難だ」とし、好投手であってもMLBで成功できない例があることにも触れている。

 黒田の功績を称えた特集は「カープ、ヤンキース、ドジャースそして野球ファンへ、クロダの旅立ちはポッカリと穴を残すだろう」と、その引退を惜しむ一文で締めくくられている。

 多くの選手がメジャーでプレーするようになった現在でも、引退に際してこれほどの賛辞が贈られる選手はそうはいない。黒田が残した足跡は日米で今後も語り継がれるに違いない。