「Thinkstock」より

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 外貨建てMMF(マネー・マーケット・ファンド:公社債投信の一種)の為替差益は、2016年1月1日から課税扱いになったのはご存じのとおり。念のため課税関係の情報を簡単に整理しておくと、分配金、為替差益ともに一律20%の申告分離課税扱いになりました。いわゆる上場株式等の「等」に外貨建てMMFが含まれることになったことから、今年からは上場株式等と損益通算(各種所得金額の計算上生じた損失のうち、一定のものについてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額等を計算する際に、他の各種所得の金額から控除することを行うこと)が可能になっています。ただし、上場株式等に含まれるとはいっても、NISA(少額投資非課税制度)で外貨建てMMFに投資することはできない点には注意しましょう。

 外貨建てMMFの為替差益が課税扱いになったため、外貨預金、FX(外国為替証拠金取引)、外貨建てMMFの3商品の中で、どの商品に投資するのが得になるのか。という質問をたびたび受けることから、その回答を税制の観点から述べることにしましょう。

●外貨預金と外貨建てMMF

 昨今、インターネット専業銀行の外貨預金の為替手数料が、外貨建てMMFを下回るケースが出てきたうえ、取り扱い通貨も多いことから、外貨預金のほうが有利と考える人が意外といるように思えてなりません。為替手数料面においては外貨預金が有利かもしれませんが、税制をみると外貨建てMMFが有利といえるのです。

 外貨預金の利息は20%の源泉分離課税、為替差益は雑所得で総合課税扱いになります。利息は預貯金と同じく源泉分離課税なので、他の損失などと損益通算を行うことはできません。為替差益は雑所得なので、同じ雑所得内であれば損益通算することができますが、ほとんどの人は雑所得で損失をつくるのは至難の業といわざるを得ないのです。

 国債などの債券をオーバーパー(100円超)で購入すれば、償還差損を雑所得の損失にすることができましたが、今年から債券の償還差損益の課税関係が変更されたため不可能に。筆者が知る限り、雑所得の損失のケースを思い浮かべることができません。

 また、為替差益を得られた場合、他の所得と合算した総合課税扱いになります。所得税の税率は累進税率になるため、住民税と合算した税率が20%以下の人でない限り、税率で有利(同率含む)になることはないのです。仮に多額の為替差益を得れば、給与等他の所得の税率がアップすることもあり得るのです。税率のアップを避けるために為替差益を抑えてしまっては、なんのための投資なのかという問題も浮上します。

●FXと外貨建てMMF

 一方、FX(外国為替証拠金取引)の為替手数料は、3商品のなかでは最も低いのですが、スワップポイント、為替差益に対する課税は、共に一律20%の申告分離課税扱いになりますが、上場株式等の「等」に含まれるわけではありません。損益通算の範囲は先物取引などに限られるため、課税の考え方は外貨建てMMFと同じであっても、損益通算の範囲が狭いため外貨建てMMFに分があると思われるのです。

 また、特定口座のような口座は存在せず、確定申告が義務付けられていることから、国民健康保険の加入者は世帯所得が増えて、国民健康保険や介護保険料が増えてしまうリスクもあるのです。もちろん、勤労者(社会保険加入者)で、運用(投資)が先物取引中心であれば、FX取引が有利となります。先物取引内で損益通算ができ、また利益に対する税金は20%の申告分離課税(累進税率ではない)で済むからです。

 外貨建てMMFの為替差益が課税扱いになっても有利と考えるのは、特定口座に入れることができる、上場株式等と損益通算ができる等々、万人に向く範囲が広い、言い換えれば一般論的に捉えていただければ幸いです。なお、本文中の税率は復興特別所得税を考慮していません。
(文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー)