トークショーを盛り上げた
中野昭慶監督ら

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 第29回東京国際映画祭の「日本映画クラシックス」部門で11月1日、1962年の「キングコング対ゴジラ」の4Kデジタルリマスター版が六本木EXシアターで上映され、中野昭慶特撮監督と映画評論家の町山智浩氏がトークショーを行った。

 ゴジラシリーズ第3作で、1225万人とシリーズ史上最高の観客動員を記録した歴史的作品が、最新のデジタル技術によって完全再現。当時、新人助監督だった中野監督は、「我々スタッフは、あの素晴らしい映像を0号(関係者用完成試写)でしか見られない。フィルムは日に日に劣化していくものだが、あの時の感激を再び味わえた。素晴らしいの一語」と絶賛した。

 1971年「ゴジラ対へドラ」で特殊技術としてクレジットされ、73年「ゴジラ対メガロ」で特技監督となり以降、84年「ゴジラ」まで6作品を手掛けたシリーズの生き字引。中野監督によれば、55年「ゴジラの逆襲」が興行的に振るわず東宝は製作に慎重だったが、ハリウッドの「キングコング対プロメテウス」の企画が日本に流れてきたことで、「世界に売れる映画を作りたいという思いがあり、当時の絶好の世界的スターだったキングコングをぶつけた。脚本の関沢新一さんの功績」だという。

 以降のシリーズの主流となる対決ものの礎を築いた両雄の戦いは、ユーモアに富み特にキングコングのコミカルな動きには会場から大きな笑いが起こった。円谷英二監督によるこだわりのミニチュア撮影など、匠の技が随所に光っているが、中野監督は「円谷さんがこだわっていたのは、ゴジラでもキングコングでもない。タコなんです」と思わぬ秘話を披露した。

 ストーリーの本筋とは関係なく、タコが海中を揺れるように泳ぐシーンがあり「ずっと映画の主人公に考えていて、それをプロデューサーが採用した。そのために漁港で生けすごとタコを買った。40〜50匹はいたかなあ」と述懐。撮影後は宿泊先の旅館に寄贈したそうだが、「板前の凝りに凝ったタコづくしの料理を2日間食わされた。だから、いまだにタコは嫌いです」と語り、笑わせた。

 大ヒット中の「シン・ゴジラ」については、「デジタル時代のゴジラで、実物にこだわらなくてもできる。アナログは終わったなというのが感想」と寂しそう。米国でも「キングコングVSゴジラ」が発表されたが、「かつてのアナログの活動屋として、映画を面白くする条件はこだわりと粘りだと思う。作り手の基礎は忘れてはいけない。デジタルの人が、今の感性でおじさんを喜ばす映画をつくってほしい」と次世代の奮起を促していた。

 第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。