<中国熱烈歓迎のイギリスやフランスと違い、自国の技術流出を警戒し始めたドイツは、中国のファンドによる独半導体メーカーの買収に待ったをかけた>

 ドイツの副首相兼経済・エネルギー相、ジグマール・ガブリエルはこれから数日間、人々の関心を集めそうだ。

 ドイツ政府は先週、中国国有の投資ファンド、福建芯片投資基金(FGC)による独半導体企業アイクストロンの買収に対する認可を取り消した。アメリカの諜報機関がドイツ政府に対し、この売却で中国は軍事転用可能な技術を手に入れることになると警告したからだ。

 ガブリエル経財相は、今回の決断に先立つ数カ月前から、保護主義的な発言を強めつつあった。ヨーロッパのハイテク産業を「何も考えずに売り払うべきではない」と主張してきたのだ。ドイツの国際公共放送「ドイチェ・ヴェレ」の報道によると、中国政府は事態の変化に大きな懸念を抱いていると表明した。

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 ヨーロッパの経済大国ドイツが待ったをかけるまで、その多くが国有である中国企業各社は、ヨーロッパで嬉々として買収と投資を繰り返してきた。ブルームバーグによると、中国企業が今年これまでにドイツ企業の買収を表明もしくは実施した額は、120億ドルにのぼるという。

盛り上がるコンテナ港

 ヨーロッパでの買収や投資は、中国と中央アジア、インド洋、ヨーロッパを結びつける中国の新シルクロード構想の要になる。現地市場へのアクセスを得ることは中国政府にとって重要だ。中国とフランスは、海外共同投資のためのファンドを発表した。中英間貿易は活況を呈している。

 そう、一部のヨーロッパ人は中国マネーを歓迎してきた。イギリスは中国の投資に対して熱烈な求愛活動を行ってきたし、いまはフランスが同じことをやっている。そして一部の国々とセクター、たとえばオランダのロッテルダムやギリシャのピレウスのような多忙なコンテナ港などにとって、中国の気前の良さは実際に役に立っている。しかし、中国マネーには地政学的計算が付随するという不安が、ヨーロッパで大きくなり始めている。

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エミリー・タムキン