「青山」の地名の由来となった青山公の菩提寺で行われた郡上おどりIN青山。地元住民ら大勢の踊り客が踊りの輪を作った(撮影:宗宮隆浩)

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「東京・青山」の地名の由来となった岐阜県郡上市のかつての藩主・青山公にちなみ、日本三大民踊の一つといわれる「郡上おどりIN青山」(青山外苑前商店街振興組合主催、郡上市観光連盟共催)が東京都港区南青山の浄土宗梅窓院(ばいそういん)で開かれた。江戸時代に郡上藩(同県郡上市)藩主の青山公の下屋敷があった縁で始まった地域交流。ビルの合間の盆踊りの輪は年々広がり、今年は18、19の2日間で地元住民ら6000人が集まり、熱気が会場を包んだ。

 青山家は、傘(からかさ)連判状で有名な「宝暦騒動」(郡上百姓一揆)の後、宮津藩(京都府宮津市)から幸道公が郡上藩へ藩主として移封され、以後幕末まで7代続いた。梅窓院は青山公の菩提寺で1643年、東京・青山にあった下屋敷内に建立された。青山の地名は、この青山公の名前に由来するという。

 12年前、地元・青山の商店街と郡上市で交流イベントが発案され、郡上の象徴である郡上おどりも行うことになった。郡上おどりは約400年の歴史を持つといわれ、国の重要無形文化財にも指定されている。青山公は一揆後の人心安定のため、郡上おどりを奨励した、といわれている。

 おどり初日、日が暮れ始めると地元商店街や郡上出身の東京在住者らをはじめ、関東在住の浴衣姿の若い女性らが集まり、屋形を中心に踊りの輪を作った。会場の境内では本番と同様、中央に設置された屋形の上で郡上おどり保存会メンバーが三味線や太鼓などのお囃子を演奏。優雅な曲調の「かわさき」、リズミカルな「春駒」など、参加者らは威勢のいい掛け声で一体になって盛り上がった。

 休憩中に踊り方を友人に指導していた郡上市出身で川崎市の会社員、加藤清香さん(28)は「月もきれいだし、ビルの間で盆踊りなんて風流」と笑顔。友人で相模原市の会社員、下越田隆子さん(31)は「初めて来たので踊り方は分からないけど、パラパラみたいで楽しい」と話していた。踊りの輪を見つめていたカナダ出身のウェブ・デザイナー、マーク・オコインさん(34)は、「元気でリズムが良くて情熱的だね。とてもいいパーティーだ」と気に入った様子だった。

 郡上出身で東京在住の会社役員、杉下豊治さん(57)は「郡上おどりは、初めてでもだれでも踊れるのがいい所。青春時代を思い出す」と懐かしそう。主催した青山外苑前商店街振興組合の小林敬三理事長(72)は「12年前の立ち上げ当初は盛り上がるか不安だったが、歴史的なつながりもあって、今では認知度が高まり、みんな毎年楽しみにしている」と手応えを感じていた。

 今年の郡上おどりは、郡上市で7月9日に開幕。9月3日まで32夜(13〜16日は徹夜おどり)にわたり行われる。【了】

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