物議を醸している欅坂46のナチス風衣装(写真は欅坂46公式ブログから)

写真拡大

アイドルグループ「欅坂46」の衣装がナチス・ドイツの軍服に似ているとしてインターネット上で物議を醸している件は、ユダヤ系人権団体がプロデューサーとレコード会社に謝罪を求める事態に発展した。

ナチスを想起させる衣装や演出は、たとえ本人たちにその意図がなくとも、批判に晒されることが少なくない。日本のミュージシャンもこれまでに、いくつかの騒動を起こしてきている。

人権団体「大量虐殺の犠牲者に多大な苦痛を引き起こす」

欅坂46は2016年10月22日、横浜でハロウィンライブを開催。メンバーは、鳥の飾りの付いた黒い帽子、ミニタリー調の黒いワンピースとマント姿で登場した。するとネット上では、ナチス親衛隊の制服に酷似しているとの指摘が相次ぎ、類似点を比較する画像なども投稿され、波紋を広げた。

25日には英大衆紙デーリー・ミラー電子版が、26日には英紙デーリー・メール電子版がこれを取り上げ、日本のネット上で批判が相次いでいると写真付きで報じた(いずれも現地時間)。31日(現地時間)には米国のユダヤ人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)」が公式サイト上で声明を発表。

「10代の若者がナチス風の衣装を着てステージや観客席で踊っているのを見ることは、ナチス大量虐殺の犠牲者に多大な苦痛を引き起こす」

とし、同グループのプロデューサー・秋元康氏とレコード会社であるソニー・ミュージックに謝罪を求めた。

J-CASTニュースは11月1日、SWCの声明についてソニー・ミュージックに取材を申し込んだが「担当者が終日外出している」とのことで話を聞くことはできなかった。欅坂側も1日17時半時点、公式コメントは発表していない(記事末尾に追記あり)。

過去にはジュリーも

日本の音楽グループの衣装や演出が「ナチスを想起させる」として問題視されたのは今回が初めてではない。欅坂とそっくりな事例は2011年にも起きている。ロックバンド「氣志團」が11年2月放送のテレビ番組で着用していた衣装がナチス親衛隊の制服に似ているとして、SWCに抗議されたのだ。

氣志團といえば学ラン風の衣装でおなじみだが、この時は軍服を思わせる黒い衣装で、綾小路翔さんの腕には赤い腕章が巻かれていた。抗議を受け、所属事務所は「決して思想的な背景を有するものではない」としながらも「深く謝罪し反省する」とする謝罪文を発表した。

SWCからの抗議はないものの、直近ではサザンオールスターズ・桑田佳祐さんの「チョビ髭」事件があった。桑田さんが14年末のNHK紅白歌合戦にチョビ髭を付けて登場したことから、ネット上で「ヒトラーに扮して現政権を揶揄しているのでは」との憶測を呼び、所属事務所と桑田さんは「他意は全くございません」とするコメントの発表を余儀なくされた。

遡ること約40年前には、ジュリーこと沢田研二さんが「サムライ」(1978年)歌唱時に着用していた衣装が問題になった。ハーケンクロイツ(鉤十字)の腕章を付けたナチス親衛隊風のデザインで、当初はそのままテレビにも出演していた。しかしその後、腕章の鉤十字は×印に変更された。

YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)が1983年に行った「散開コンサート」は、ナチス風の衣装やステージデザインが際立つものだった。ただ、こちらは当時大きな騒動にはならなかったようだ。そのためネット上では、欅坂の問題を受けて

「じゃあYMOの散開はどーなるんだ」
「時代が違うという事でしょうかね?」
「今あれをやったら炎上するのかな?」

といった声が散見される。

【11月1日20時追記】その後、秋元康氏とソニー・ミュージックなどは11月1日中に欅坂46公式サイト上などで、謝罪コメントを公表した。「私どもの認識不足により、(略)ご不快な思いをさせてしまったことに対し、心よりお詫び申し上げます」(ソニー・ミュージック)などとしている。