容認の傾向が強くなってきた副業・兼業は私たちに安定をもたらすのか?

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突然だが、あなたの金融リテラシーを問う質問を。例えばあなたの毎月の収入が30万であった場合、その収入源が1つと複数では、どちらのほうがリスクが高いだろうか。1つの場合、それは恐らくサラリーマンのような働き方が想定されるだろう。複数となるとフリーランスということになるのかもしれない。この答えによってあなたの金融リテラシーが高いか低いかが分かってしまうこともある。答えは最後に明かすとして、「教えて!goo」に「私はサラリーマンですが、節税するには会社設立?」といった質問が寄せられていた。質問者はサラリーマンとして400万、副業で500万、合計900万の年収があり、それらを少しでも節税するためには会社設立が有効だろうかと質問している。

■会社設立のメリットとデメリットとは?

早速いくつかの回答を紹介する。

「副業が永続的ではないとするなら、法人化は止めておく方が無難かもしれません」(sassa99さん)

「本業のサラリーマン業のほうがおろそかになってはいけません」(LakeSwanさん)

「具体的にシミュレーションしてみなければ結論は出せませんが、一般的には、自宅で仕事をしている場合には居住費用の一部を費用化できるなどの節税効果はあるでしょう」(-9L9-さん)

「法人成りして税額負担が減るという言葉そのものの裏には、税額は減るけど、そのために必要な出費がどれだけあるかは知ったことではない(中略)…という意味があります」(hata79さん)

回答の多くが会社設立によるメリットとデメリットに触れている。では結局、質問者は会社を設立するべきなのだろうか。

■会社設立の基準は副業が1000万を超えたら

今回のようなケースでは一体、どの基準で法人化にすべきか、話を伺ったのは企業の顧問を多く務める松嶋洋税理士。

「副業のサラリーマンの方が法人を作られる基準については、一般の個人事業主と大きく変わることはなく、年商1000万円が基準になります」

基準は年商1000万円とのことだが、その理由はなんだろうか。

「1000万円が基準になるのは、原則として、2年前の売上が1000万円を超えると、消費税の納税が発生するからです」

消費税の納付が発生するということは、その分だけ経理上の負担が増えるということだ。つまり法人化することで、その負担を軽減しようということだろう。ちなみに法人化のメリットとデメリットも伺った。

「法人化のメリットとして、一番大きなものは、所得の分散です。法人化をすれば、家族を役員にして給与を払うことで、所得を分散できます。所得税は累進課税ですから、所得を分散すれば一人でもらうより低い税率で課税されることになります。一方、デメリットは法人の利益に関係なく、均等割という地方税が課税されること、税務調査が厳しくなることが挙げられます」

■政府がすすめる「働き方改革」はどんな影響をもたらす?

安倍首相が意気込んでいる「働き方改革」の中に副業・兼業の容認がある。これによってサラリーマン兼フリーランスのような働き方も増えていくだろう。そしてそれは収入源の分散を実現する。ちなみに冒頭で触れた収入源が1つと複数ではどちらがリスクが高いかだが、答えは1つである。何故ならその1つが途絶えると収入がゼロになるからだ。「働き方改革」は私たちの生活に安定をもたらすのかもしれない。

●専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋 洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士として事務所を運営する傍ら税務調査対策のコンサルティングにも従事。

(森)

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