中国メディア・界面は28日、「中国高速鉄道の対外輸出は、どうして日本の新幹線を大きく超越できたのか」とする記事を掲載した。経済成長に伴って豊富な資金力を持った中国が、日本の景気低迷に乗じて一気に追い越しを図った、というのが主な論点だ。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディア・界面は28日、「中国高速鉄道の対外輸出は、どうして日本の新幹線を大きく超越できたのか」とする記事を掲載した。経済成長に伴って豊富な資金力を持った中国が、日本の景気低迷に乗じて一気に追い越しを図った、というのが主な論点だ。

 記事は、現在中国は高速列車保有台数、営業距離で世界一を誇り、様々な地形や気候の条件に合わせた鉄道敷設を実現するなど、「世界の高速鉄道博物館」になっていると説明。その輸出規模は日本の新幹線をはるかに上回っているとした。

 そのうえで、中国が世界の高速鉄道市場で日本に大きく差を付けた理由として、高速鉄道のビジネスは鉄道車両の供給、レール敷設、コントロールシステムに金融サービスを組み合わせた「混合体」であると解説。建設を承る以外に、国際的な借款を提供して相手国を支援する必要があり、この点で中国が最も優れているのであると論じた。

 一方で日本は、国内における政治の混乱と経済の不振を経て、2012年末に第2次安倍内閣が発足して円安が強制的に進んだことでようやく新幹線の輸出プロジェクトが再始動する状況にあったと解説。「日本が泥沼にはまっている間に、中国はすでに国内の鉄道網を作り上げると同時に世界への戦場へと駆け出し、トルコやロシアなどの高速鉄道プロジェクトを請け負ったのだ」としている。

 そして、中国高速鉄道輸出は発展途上国に留まらず、米国や英国といった多くの先進国のプロジェクトにも進出していると説明。高速鉄道プロジェクトが国の交換貿易プロジェクトとしての役割をすでに果たし始めており、「この点において、日本の新幹線は到底及ばないのである」と伝えた。

 記事は最後に、「国が高速鉄道建設に極めて大きな戦略的意義を与え、国レベルの投資プロジェクトとした」点が、中国のリードを実現した原因であるとも主張。極めて活気ある中国経済が中国高速鉄道を世界へと向かわせているのであって、「高速鉄道自身の技術やコストはもはや最も重要な要因ではなくなっているのである」と結論づけている。

 確かに、中国高速鉄道輸出には、国家プロジェクトである「一帯一路戦略」という大きな後ろ盾が存在する。まさに国レベルで高速鉄道の売り込みをかけている印象だ。日本政府もアジア地域におけるインフラ輸出推進戦略を掲げてはいるが、そのインパクトは「一帯一路」より弱いと言わざるを得ない。

 中国がカネとボリュームに物を言わせて高速鉄道輸出を伸ばすとなれば、日本はどう対抗するのか。サービス面を含む質の高さ、安全性や環境への配慮、信頼性の高さといった日本の強みを全面的に打ち出していかなければならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)