サウジアラビアをPK戦の末に下し初優勝した日本だが、内容的には「完敗」に。堂安(15番)も攻撃の局面で自由にプレーできなかった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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「独特でしたね。上手いし、速いし、世界に行くとこういうレベルなんだろうなと」

【PHOTO U-19アジア選手権 @試合】PKでサウジアラビアに勝利し悲願のアジア制覇 
 
 岩崎悠人(京都橘高)がこう語ったように、決勝で対戦したサウジアラビアはこれまでの5試合で対戦してきたどの相手よりも手強かった。
 
 試合は終始サウジアラビアペースで進んだ。最終ラインからロングボールを放り込み、両ウイングの縦に素早い突破を活かしたかと思えば、前線から果敢にプレスをかけボール奪取からショートカウンターへ持ち込む。その多彩で圧倒的な攻撃力は確実に脅威となった。
 
 翻って日本は、フィジカルで分がある相手に中盤を支配されたため、攻撃の糸口をなかなか掴めない。前線の小川航基(磐田)にボールを当てても収まらず、サイドに活路を見出そうとしたがこれも上手くいかない……。決勝までの5試合を無失点に抑えてきた最終ラインが瀬戸際で踏ん張ったものの、前半に少なくとも二度あったピンチをモノにされていたら、おそらく違う結果になっただろう。
 
 グループリーグの3戦目以降、尻上がりに調子を上げてきたチームも、この日ばかりは持ち味を発揮できたとは言い難い。実際、内山篤監督も「上手くいかなかったのが正直なところ。身体能力で一発でかわされたり、チャレンジに行って入れ替わってしまったり。しっかり対応しなきゃいけないところで判断ミスがあった」とコメントしている。
 
 それでも、なんとか凌いでPK戦の末に栄冠を掴んだ事実は素晴らしい。しかも、この年代で「史上初」の優勝なのだから、まさに快挙である。来年のU-20ワールドカップに向け、サウジアラビアのような実力国と決勝で戦えたことには大きな意義があるだろう。
 神谷優太(湘南)の負傷離脱により最終的に22名で戦った日本の道のりは順当そうに見えて、実は厚い壁を乗り越えた末の快挙だったというべきかもしれない。ただ、準決勝までの5試合で‶真の強者″と言うべき相手が見当たらなかったのも確かなだけに、このサウジアラビア戦での経験は良い財産になったに違いない。
 
 内山監督は、選手たちがこの1試合で課題を感じ取ったことを「経験してくれたのはありがたい」と言いつつ、気を引き締めるかのようにこう続けた。
 
「(サウジアラビアは)個の能力が高かった。同じくらいの能力の相手だと、一回ではボールを奪えないので、連続してやらないといけない。そのあたりがまだまだ。世界に行くとそういう選手はたくさんいるので、そういった部分の個のクオリティを高めながら、チームとしてもワンランクアップしていきたい」
 
 アジア最終予選を通じて得た経験を基に、内山ジャパンはさらなる進化への道へと突き進む。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)