初優勝を果たしたU-19日本代表。これから、世界への宿題を克服する

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[10.30 AFC U-19選手権決勝 日本 0-0(PK5-3)サウジアラビア]

「いやあ、めっちゃ疲れました」

 FW岩崎悠人(京都橘高)の漏らした個人的感想は、試合内容を最も的確に表したものかもしれない。観ている側も疲弊するような消耗戦だった。「正直に言うと、うまくいかなかった」と内山篤監督がこぼしたように、決勝の試合内容は想定していた以上に悪かったのだ。

 一つはサウジアラビアのパフォーマンスが予想よりも高かったことである。準決勝から中2日の日程を考えても、守備面での強度を維持するのは難しいと思われたが、「相手のサイドハーフがめっちゃ守備をしてきた」と堂安律(G大阪)が驚いたように、サウジアラビアの守備意識は総じて高かった。5失点を喫した準決勝・イラン戦を踏まえての反省がフィードバックされたのだろう。前からの激しいプレッシングに加えて、それをかわした後のプレスバックも持続。特に両ボランチがなかなか思うように前を向けず、攻撃にリズムが生まれない。逆にカウンターを受ける場面も増えて、攻撃から守備への切り替えを強いられる場面が相次いだ。「(ボールを)取られてから慌ててしまう時間帯があった。冷静にやれなかった」とDF中山雄太(柏)が悔やんだように、日本が思うようにサッカーをできた時間は限定されていた。

 とはいえ、これこそまさに積み上げてきたものを出す流れではあった。今年に入ってからブラジルやフランスなど強国とのゲームを多く組んできた意図について内山監督は以前「うまくいかないときもあるのがサッカーで、うまくいかないときにどう戦うかもサッカー。試合を通じてそれを学んでほしかった」と語っていた。攻守で能動的に主導権を握ることを理想としながらも、相手との力関係やゲームの流れでそういかなくなるときもある。「悪い時間帯」が続いてしまった中で、冷静な判断ができるかどうか。それを問われ続けるような120分となった。

 最終的に0-0からのPK勝利という結末になったことについて幸運がなかったとは言わない。ただ、「以前はバタバタして失点という負の連鎖が起きることもよくあった」と指揮官が言うような状態に陥ることはなかった。たとえば、38分。中山が「あれは完全に自分のミス」と振り返る1対1で置いていかれて決定機を許す場面もあったが、そのミスが次のミスに連鎖することはなかった。確かに苦しい内容の試合だったことには違いないのだが、心理面を含めてそれを耐えるような強さがチームに備わっていたこともまた確かだった。

 もちろん、このままのチームで世界大会も戦えるかと言えば、相当厳しいだろう。サウジアラビアのように前から激しく圧力をかけてくるチームに対してどう戦うかはU-16日本代表も露呈してしまった日本サッカーとしての課題だ。まず戦術的な対応力を磨いていく必要があるだろうし、個々人の意識や感覚も国内基準ではなく世界基準にアジャストできるだけの幅を持たせる必要がある。Jリーグに有力な外国籍選手がいなくなっているという現実もあり、若い選手に国際的なプレー感覚を体得させるには、やはり代表チームを通じた強化が不可欠だ。U-20W杯まで、あと半年。東京五輪までは4年弱。残されている時間は、あるようでない。

(取材・文 川端暁彦)