(左から)モーセン・アブドルワハブ監督、
女優のエルハム・コルダ、プロデューサーの
アリ・アスガル・ヤグゥビ氏

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 第29回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「誕生のゆくえ」が10月31日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、イランのモーセン・アブドルワハブ監督、女優のエルハム・コルダ、プロデューサーのアリ・アスガル・ヤグゥビ氏が会見した。

 パリとファルハードは演劇と映画を仕事にする中流階級の夫婦。ひとり息子と幸せに暮らしているが、パリは再び妊娠。ふたりとも望んでいない妊娠だった。いったんは中絶で合意したふたりだったが、パリは疑問を抱き始める。

 アブドルワハブ監督は、「中絶は過去も現在もこれからも人類の問題。社会の変化によって、考え方も変わるので、今のイラン社会ではどうなのかをテーマに選びました」と今作製作のきっかけを語る。そして、「イランではコーランにも罪と書かれており、宗教的に禁じられている。しかし、子供を育てる力がない人たちは、秘密裏に堕胎を受けており、具体的な数字はありませんが、多くの人が中絶を経験しているのでは」と自国での現状を説明した。

 予期せぬ2人目を授かった舞台女優を演じたコルダは、「夫婦生活を大事にしており、自分の仕事を持ちながら家事もし、夫を愛している。そして、難しい決断を自分でするのが魅力的なキャラクター」と役柄を分析。女性として、本作のテーマについて意見を求められると、「私はいま子供はいませんのでいろいろと考えます。子供を持つと、仕事か家庭どちらかを犠牲にしなければなりません。今、私の同じ世代の女性は、仕事をとる人が多いと感じます。また、イランで子育てをしたくないという理由で、アメリカ、カナダ、ヨーロッパに移住して子供を作る人も増えています」と話した。

 プロデューサーのヤグゥビ氏は「この作品はグローバルな問題を扱っています。カトリックの国ポーランドでは違法とされ、アメリカの大統領選でも議論され、70億人を超える人口を持つ世界で無視できない普遍的な問題。我々はグローバルであり、ローカルでもあるこういう映画を作る度胸があります」と作品のテーマ選びに自信を見せた。

 東京国際映画祭は11月3日まで開催。